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[db-029] 1B-38 : ラット胃粘膜におけるNADPH diaphoraseとNOSの局在の差異について
##Begin
#Z 1B-38
#A ラット胃粘膜におけるNADPH diaphoraseとNOSの局在の差異について
#B Localizational comparison between NADPH diaphorase activity and neuronal NOS immunoreactivity in rat gastric mucosa
#E1 中村/正弘
#F1 なかむら/まさひろ
#G1 Nakamura/Masahiro
#J1 札幌医科大学医学部解剖学第1講座
#K1 さっぽろいかだいがくかいぼうがくだいいちこうざ
#L1 Department of Anatomy, Sapporo Medical University School of Medicine
#D Nitric Oxide Synthase(NOS)はNADPH diaphorase活性をもっており、
その活性はテトラゾリウム塩を用いて検出することができるため、NADPH
diaphoraseはNOSの histochemical markerとして利用されている。我々は
これまで、胃粘膜に神経型NOSが存在することを抗NOS抗体を用いて免疫組
織化学的に証明し、また、NADPH diaphorase活性を、テトラゾリウム塩と
してNBT(nitroblue tetrazolium)を用いて酵素組織化学的に検出してきた。
今回さらに、テトラゾリウム塩としてBSPT(2-(2'-benzothiazolyl)-5-
stylyl-3-(4'-phthalhydrazidyl) tetrazolium)を用いて NADPH diaphor-
ase活性を検出し、その局在を光顕、電顕的に詳細に観察し、NBTを用いた
場合と抗NOS抗体を用いた場合とを比較検討した。
光顕では、BSPTを用いた diaphorase活性は、抗NOS抗体を用いた場合と
同様に表層粘液細胞や、峡部の未分化な表層粘液細胞で陽性であった。し
かし、その反応物質は、細胞質に果粒状に沈着しており、細胞膜や核の周
囲にも反応物質の沈着が観察された。また、この沈着部位は、エタノール
による脱水操作の前後で変化しなかった。さらにBSPTを用いた場合には、
壁細胞にも微弱ながら果粒状の沈着が見られた。
これを電顕で観察すると、表層粘液細胞では、抗 NOS抗体を用いた場合
には、cytosolに陽性反応が見られるのに対し、BSPTを用いた NADPH diap-
horase活性の場合には、細胞膜、核膜や、一部の rER、ミトコンドリア外
膜、分泌果粒の膜に反応産物の沈着が観察された。また、壁細胞では、抗
NOS抗体を用いた場合には反応は見られないが、 BSPTを用いた場合には核
膜や一部のミトコンドリア外膜や細胞内分泌細管に反応産物が沈着してい
た。
これらを比較すると、光顕ではその局在はほぼ一致するが、電顕では細
胞レベルの局在は必ずしも一致しなかった。生化学的、分子生物学的手法
によると、神経型NOSはcytosolに存在する酵素であると報告されており、
免疫染色による結果はこれを反映していると考えらるが、我々の結果から、
NADPH diaphoraseの活性は電顕レベルでは必ずしも正しい NOSの局在を示
しておらず、NOS以外の diaphoraseの局在を示している可能性も考えられ
る。
この胃粘膜の NOSがどのような機能を果たしているのか、細胞レベルの
局在からは今のところ不明であるが、表層粘液細胞や増殖細胞帯の未分化
細胞に存在することから、NOが胃粘膜上皮における細胞の増殖・分化に関
係し、これを介して、胃粘膜防御に重要な役割を果たしていることが考え
られる。
(この研究は大阪大学医学部生化学教室:谷口直之教授、鈴木敬一郎先生、
徐漢兢先生との共同研究である。)
#M 一酸化窒素合成酵素,NADPHジアフォラーゼ,NBT,BSPT,胃
#N nitric oxide synthase,NADPH diaphorase,NBT,BSPT,stomach
#Last_modified 97.02.02-01:00
#Return_path tatsumi@sapmed.ac.jp
#Sequence_number 29
##End
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