日本アカデミック・ネットワーク・ニュース (研究ネットワーク連合委員会:発行) JCRN (Japan Committee for Research Network) Newsletter Vol. 1, No. 3, September 1991 −−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−− JCRN:委員長=野口正一(東北大),副委員長=石田晴久(東大),池田克夫(京大)  幹事会主査=小柳義夫(東大); 技術会主査=村井 純(慶応大) JCRN事務局:〒113 文京区弥生2の11の16 東大大型計算機センター(石田)     e-mail:ishida@u-tokyo.ac.jp (電話)03-3818-0287  (FAX)03-3814-7279 −−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−− 1.CSNETがサービス停止へ  CSNETはCRENの一部としてサービスを続けてきたが、加入機関が減って、赤字続きの ため、サービスを中止することになった。これに伴い、relay.cs.netというゲートウ ェイも廃止される。CSNETにはわが国でも東大を中心に1986年から1989年にかけて、K DDのVenus-P(パケット交換回線)を通してお世話になったが、WIDEの国際リンクがハ ワイ大学になってからは、わが国でもCSNETリンクはほとんど使われなくなっていた。 2.学術情報センターがSINETでTCP/IPサポート  去る7月、NACSISより、TCP/IPプロトコルを使う大学間バックボーン・ネットワーク (SINET)を作るという発表があった。これは、10月より64〜128Kbpsで8大学(大型セン ターのある7大学と筑波大学)を結ぶもので、回線速度は1992年1月からは128〜256Kb psにする予定。物理的な回線としてはN1netで現在X.25回線として使われている高速 ディジタル回線を使い、マルチメディア多重化装置 (MUX) に新たにラインセット(LS) を追加する。同センターの関係研究会には、JUNET/WIDEやTISN, JAINなどの関係者も 多数入っている。これでSINETはWIDEと似たものになるが、WIDEとは違って、企業研究 所のコンピュータとの間でのloginはできない。国際接続はさしあたりWIDEに頼るが、 1993年1月からは512Kbpsでアメリカと結ぶことを計画している。 3.TISN (Todai International Science Network)の近況  去る6月4日に委員会が開かれた。そこで報告されたところによると、昨年6月以降新 たに接続されたのは、宇宙科学研、統数計、分子研、気象協会[以上TCP/IP]と通総 研(平磯)[DECNET]である。これで参加機関は15となった。東大とハワイ大との間 の国際リンクは6月1日より(従来の64Kbpsから)128Kbpsにアップグレードされた。こ の回線のトラフィックはこの1年間でほぼ2倍になり、月当たり各方向1500MBになって いる。 4.BITNETの近況 (1)7月末の日付けでBITNETJPニュース(No.1)が発行された。それによると、BITNET  のノード数は世界中で3,502、そのうち日本は114、日本とつながっている台湾で19、  韓国で12となっている。ホンコン、シンガポール+マレーシアはアメリカとつなが  っているという。 (2)6月からWIDEの慶応藤沢NOCと理科大神楽坂ノードとの間がIPプロトコルの9.6kbps  で接続され、WIDEとBITNETの両ネットワーク間でメール交換が行われている。 (3)11月頃よりアメリカの接続先を現在のCUNYから、プリンストンのJvNCnetに変更し、  BITNET-IIのIP接続にする予定。(石田注:これについてはアメリカのInternet関係  者から問題だという声が上がっている。IPネットワークからみて、日本の接続先が  WIDEと2ケ所になり、ルーティングが難しくなるからである。) (4)日韓台の間でCAREN (Consortium of Asian Research and Educational Networks)  を組織する。これはアメリカのCRENと提携する予定。 5.INET'91がコペンハーゲンで開かれる  この会議の詳細については次の記事をみて頂きたい。   山口 英:INET'91国際会議,UNIX MAGAZINE, 6巻9号, pp.12-19 (1991) 砂原秀樹:iNET'91 International Networking Conference Report, スーパーア スキー,2巻9号,pp.40-41 (1991)  なお次回のINET'92は1992年6月14日〜17日の間、神戸国際会議場で開かれることに なった。参加者は国内が250名、国外から250名を予定している。論文募集も行う。 6.PACCOM会議がハワイで開かれる  去る8月4日〜7日の間、ハワイのカウアイ島でPACCOM(PAcific Communications COMmunity=太平洋アジア・ネットワーク)が開かれた。参加者は、アメリカ20人、韓 国11人、日本9人、ニュージーランド7人、オーストラリア4人、ホンコン1人の計52名。 日本からは、村井、浅野、苅田、楠本、Mendez、赤木、柿内、石田などが参加した。 またCiscoやProteonやWellfleetのルーター・メーカーの代表の出席もあった。とくに 議論になったのは、韓国や日本からのアメリカへの複数地点接続で、アメリカ側とし ては1本化したいとの意向が今回も出された。 7.APCCIRNがハワイで開かれる  Asia/Pacific Coordinating Committee for Intercontinental Research Councilの 会議が去る8月8日にハワイ大学の東西センターで開かれた。参加者は全体で25人(ア メリカ=5人、日本=6人、ニュジーランド=6人、オーストラリア=3人、韓国=3人、 マレーシア=1人、フイジー=1人)。日本からの参加者は石田、浅野、村井、苅田、 楠本、Mendez。APCCIRNとAPEPGを正式に発足させ、1987年に発足したCCIRNに加入する こと、アジア太平洋地区の国際ネットワークのトポロジーについて今後考えてゆくこ と、などが合意された。 8.Internet Society結成へ  上記5のINET'91で決まったことのひとつに、世界的なInternet Societyの設立があ る。これは1991年末をメドに作られるもので、INET'92は実はこの学会主催の第1回大 会となる。提唱者のVint Cerfによれば、この学会の特徴や目的は次のようになってい る。 (1)研究・学問上の通信・協力のためのインターネットの利用を推進する新しい国際会  員組織 (2)ネットワークの政策や標準を議論するための政府、産業、個人のためのフォーラム (3)インターネット技術の発展や進化の焦点 (4)すべての国のオープンな学問の共用を進めるための手段