日本解剖学会 100周年 ミニシンポジウム'95
テーマ「解剖学とコンピュータ」
4. 新解剖学のルネッサンス(コンピュータ利用の可能性)
辰巳治之
(
札幌医大・医・解剖)
コンピュータの発達史と、人類の発達史を比べると、非常に似通っている。ま
た、解剖学の発達過程にみられた現象と同じようなことが、コンピュータやイ
ンターネットの導入時に見られるのは興味深い。コンピュータ・ネットワーク
やグラッフィクスを用い、立体再構築やマルチメディア情報システムを作り、
解剖学の研究や教育をするなかで、なにか物の本質を垣間みたようなきがする。
大量ある情報のなかから、要らないものを取り除き(捨象)、必要な情報を剖
出(抽象)し意味付けする。これは知的生産活動の本質で、その典型例として
解剖学を考える。この抽象化、記号化によるコミュニケーションが多くの情報
関連ツールの出現により促進されるようになったが、ルネッサンスの時のよう
に人間の考え方が変わらねば、本質的な進歩につながらない。これは解剖学の
次のステップの為にも必要なことではないだろうか?
解剖学会データベース委員会提供: jaadb@sapmed.ac.jp