札幌医科大学への献体に関する質疑応答集

札幌医科大学白菊会

札幌市中央区南1条西17丁目
札幌医科大学医学部解剖学教室内
(電話011-611-2111、内線4255)


献体についての大学の対応は、各大学の事情によって多少異なります。ここでは札 幌医科大学に献体される方々のために、札幌医科大学白菊会の会員、または入会を希 望される方々からのご質問にお答えする形で事情をご説明致します。


問1

入会に際して家族全員の同意が必要なのはなぜですか。本人が献 体したいと固い決心をしているのですが、、、。
献体を希望される方が亡くなられた場合、大学に通知される方、または最終 的にご遺体を大学に引き渡すかどうかを決めるのはご遺族です。したがって、ご本人が いかに献体を希望されても、ご家族全員のご賛同が無ければ献体が実行されない場合が あるのです。大学としてはご家族の反対のあるご遺体を引き取るわけには まいりません。


問2

昭和58年に施行された「医学及び歯学のための献体に関する法律」による と、本人が献体の意思を書面で表示していれば、遺族の承諾は不要、と書いてあります が、、、。
献体に関する法律は、献体という尊い行為を国が公に承認し、国が国民の理 解を深めるために努力するという精神のものです。この法律には「献体の意思は尊重さ れなければならない」と書いてありますが、これが実行されるためには「遺族がその解 剖を拒まない場合」という条件がついています。入会に際してご家族全員の承諾をいた だくことと矛盾するものではありません。


問3

会員が死亡したとき、大学への連絡はどのようにしたらよいでし ょうか。
まず、ご家族の間で献体することに異存がないか確認の上、以下 の引き渡し方法から、ご都合のよい方法を選んでください。
1.お通夜などもせず直ちに引き渡す。
2.お通夜をしてから翌日に引き渡す。
3.通常どうり、お通夜と告別式を済ませてから引き渡す。
以上のうち、どれかに決まりましたら、大学へ引き渡しの日時及び場所を お知らせください。大学から専用車又は葬儀車でお迎えに上がります。大学への連 絡は、担当職員が不在のため、やむをえない場合を除いて休日、夜間はご遠慮下さ い。


問4

土曜日、日曜日、祭日または夜間(時間外)に死亡した場合、大 学への通知はどうしたらよいのですか。
大学への連絡は、問3のとうりご遺体の引き渡し日時、場所等が決まってか らにして下さい。直ちに大学へ引き渡したいという場合には札幌医科大学へ電話して下 さい(011-611-2111)。警備員に死亡者の氏名、連絡先の氏名、電話番号を伝えていただ ければ、折り返し担当者からお電話いたします。 なお、休日、時間外のご遺体引き渡しの際は、大学職員になり代わり専門業者が お迎えに参りますのでご了承下さい。


問5

大学に遺体を引き渡す前に葬儀を営みたいのですが、、。またそ の費用は出してもらえますか?
葬儀をなさることは一向に差し支えありません。しかし、葬儀の費用を大学 で負担することはできません。遺体引取りから遺骨をお返しするまでの間、つまり大学 でご遺体をお預かりしている間に必要な費用については大学で負担いたしますが、それ 以外の負担はできません。


問6

出棺の際、遺族側で手配した車で大学まで送っても良いでしょうか。
それは差し支えありませんが、事前に大学と相談して下さい。ま た、その費用を大学で負担することはできません。


問7

死亡後、大学に遺体を引き渡すまでに日数のかかる場合はどうなりますか。
大学とご相談下さい。死後早い時間内にドライアイスを入れるな どの措置をしていただければ、ご遺体の保存に良い結果を得ることができます。


問8

本州など遠方を旅行中に死亡した場合はどうなりますか。
本州方面などを旅行中に死亡された場合は、ご家族の同意に基づき最寄りの 大学に連絡し、ご遺体を引き取っていただくようお願いしてみることもできます。ただ し、献体が過剰になっている大学もあるとのことですので、御希望にそえない場合もあ るかと思います。


問9

死亡した場合、どんな書類が必要ですか。
ご遺体を大学に引き渡す際に、死亡診断書(写しでも可)と埋火 葬許可証をご用意下さい。埋火葬許可証は市町村役場の戸籍係へ死亡届けをすると発行してくれます。


問10

遺体を大学に引き渡してから解剖が終了するまでの日数はどの位でしょうか。
札幌医科大学の場合、学生の解剖学実習は1月〜3月、4月〜6月と年に2 回実施されますが、ご遺体をいただいてから実習に供するまでに3ヶ月以上の防腐期間 が必要です。長い間ご遺体をお預りすることは心苦しいことですが、通常2年〜3年と お考え下さい。


問11

火葬の時に遺族は立ち会えるのですか。
火葬は札幌市の里塚斉場で行ないます。火葬の2〜3週間前にご遺族にご案 内を致します。お骨揚げをなさりたい方は当日火葬場へお越し下さい。ご遺族が火葬場 へお出でになれない場合は大学の教職員が代ってお骨揚げをいたします。


問12

火葬場へ行けない場合、遺骨の引き渡しはどうなるのですか。
ご遺骨の引き渡しについては、あらかじめ大学からご相談致しますの で、ご都合のよい方法を御指示下さい。


問13

私は身寄りもなく遺骨を納める場所も無いのですが、、、。
札幌の平岸霊園内に大学の納骨堂がありますので、ご希望により 納骨させていただきます。大学では毎年8月に納骨堂のお参りをいたしております。


問14

献体者の慰霊はどうなっていますか。
大学では毎年9月に解剖体慰霊式を行なっており、前年の9月からその年の 8月までの間に献体された方々のご遺族をお招きしております。なお大学では宗教行事 を行なえませんので、無宗教形式の慰霊式を行ないます。


問15

交通事故で死亡した場合などは献体できますか。
事故の様子により異なりますが、外傷が余りひどくなく、体内の血管がこわ れていない場合なら献体は可能です。いずれにしても大学に事情を説明してご相談下さ い。


問16

献眼や腎臓を提供したあとでも献体はできますか。
献眼や腎臓移植とは両立できません。特に腎臓などの臓器移植の 場合、体内の大きな血管が切られますので防腐処置ができなくなります。 また、献眼すると、学生が目の解剖をすることができません。 解剖実習への献体というのは全身を提供することだとご理解下さい。


問17

献体することについ費用がかりますか。
白菊会に入会すること、 または死亡されて献体することについて費用は一切かかりません。火葬の費用 も大学で負担致します。ただし、葬儀の費用と、お骨揚げの時の火葬場への交通費はご 自弁下さい。


問18

実習に使用する前に防腐処置をするということですが、どのよう にするのですか。また遺体はどのようにして保存されるのですか。
防腐処置は、手首の血管から防腐剤を注入するだけです。防腐剤の効果が現 れるのに三ケ月以上かかります。ご遺体はお一人ずつロッカ−に納められ解剖の日を待 ちます。


問19

死亡した際、入院先の病院や主治医から病理解剖の要請があった 場合、どうしたらよいでしょうか。
病理解剖も医学の発展に不可欠であり、要請があった場合には家族の反対が ない限りご承諾いただいて結構です。その際、病理解剖終了後に正常解剖への献体とい うことはできませんので、ご了承ください。このような場合、後日でも結構ですので白 菊会事務所までご連絡下さい。


問20

私はある宗教の信者です。同じ宗教の友人に入会をすすめるのですが「大学 へ遺体を提供すると仏式で扱われるから、、、」とことわられてしまいます。どうした ら良いのでしょう?
問15でお答えしていますように、大学では解剖体に関して特定の 宗教行事は行なっておりませんからご安心下さい。


問21

会員が病気になった時に医療上の特典がありませんか。
無条件、無報酬でという献体の趣旨から、大学としては会員に特 別の扱いをすることはできません。


問22

白菊会会員の献体に対して、文部大臣から感謝状が出ると聞きま したが、、、。
献体が実行されますと、文部大臣から献体者に対して感謝状が伝達されます。 札幌医科大学では、ご遺骨をお返しする際に、ご遺族に感謝状をお渡ししております。


問23

医師の白菊会への入会が少ないという話を聞き、納得のいかぬ気 がするのですが、、、。
医師の会員も少なからずおられることをご承知下さい。また生前 は入会しておられなくても、死後に病因解明のため病理解剖に供される方は 多数おられます。いずれにしても白菊会の趣旨は、自分がお役に立ちたいという 自発的意思に基づくもので、他人のことを批判するのは本旨に反するように 思われます。


問24

白菊会の会員相互の連絡や親睦を深める機会がありますか。
白菊会では毎年6月に、そのような目的で大学で総会を開催して います。


問25

大学での白菊会の総会に欠席した場合、会の様子などを知る事が できますか。
総会に欠席された方には、後日大学から会員名簿、議事録、質疑 応答などの印刷物をお送りしております。


問26

私は高齢で、総会には一人で出席できないのですが、、、。
どうぞ付添いの方とご一緒にいらして下さい。大学では付添いの 有無もあらかじめお伺い致しております。


問27

解剖学実習用の遺体が足りないということを聞きますが、札幌医大では どうなのでしょうか。
最近は国や関係機関の理解も深まり、札幌医大では解剖学実習に提供される ご遺体は充足されております。教育計画通りに実習が行われておりますのでご安心下さ い。
 ただ、近年、献体に対するご理解が深まり、全国的に献体過剰の傾向が表れておりま す。札幌医科大学においても、その傾向が出てきており、将来に対する何らかの対策を 講じなければならない状況になっております。そこで本会では、白菊会の本旨である 「天寿を全うした後にお役に立っていただく」ということを前提に、平成4年度総会で ご説明のとうり、当分の間、新規の入会登録は70歳以上の方に限らせていただくこと になりました。


参考:

アイバンク(道眼球銀行事務局)
札幌市中央区南1条西16丁目
札幌医科大学眼科学教室内
TEL 011-611-2111(内線3435)
道腎臓バンク(財団法人)
札幌市中央区北1条西9丁目
大和田ビル2F
TEL 011-261-2033
骨髄バンク北海道事務局
札幌市中央区大通西5丁目11-1
札幌医科大学眼科学教室内
TEL 011-214-5115