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2004年7月23日

RNA 工学の臨床応用 がん治療の戦略

Clinical application of RNA technology: Strategies for cancer treatment

濱田洋文 札幌医科大学 分子医学研究部門

Hirofumi Hamada

Department of Molecular Medicine, Sapporo Medical University


日本語キーワード: がん治療、遺伝子治療、mRNAトランスフェクション、アプタマー、DNA/RNAコンピューター

日本語要旨 200字

RNA工学をがん治療に応用する試みは大きく分けて、1)アンチセンスオリゴヌクレオチド、リボザイム、siRNA、などのように、細胞内の配列特異的なmRNAを抑制するもの、2)mRNAを抗原提示細胞に取り込ませて、その産物を免疫認識の標的とした治療を目指すmRNAトランスフェクション法、3)RNA分子の高次構造が、特定の機能を持つリガンドになるよう工夫する、アプタマーの手法、などがある。

RNA 工学の臨床応用 がん治療の戦略

はじめに

RNA工学をがん治療に応用する試みは大きく分けて以下の3つのアプローチが考えられる。1)アンチセンス、リボザイム、siRNA、などのように、細胞内のmRNAを標的として、mRNAを切断ないし機能的にブロックして、mRNA産物の発現を抑える、いわゆるmRNAサイレンシングによってがん治療を行おうとするもの。2)mRNAを腫瘍細胞から抽出ないし試験管内で転写合成し、樹状細胞などの抗原提示細胞に取り込ませて、細胞内で翻訳発現させ、その産物を免疫認識の標的とした治療を目指す、mRNAトランスフェクションの手法。3)RNA分子の高次構造が、タンパクなどの標的に結合したり酵素活性を持つなど、特定の機能を持つように工夫し、これを治療に用いようとする、いわゆるアプタマーの手法。本総説では、それぞれのアプローチについて、臨床応用でも特に「難治性のがんに対してどのように応用できるか?」という視点から、がん治療に具体的に使われる可能性の高いものを取り上げたい。また、細胞内のmRNAなどのインプットに応じて、アウトプットとしてsiRNAなどの治療医薬を放出するような細胞内で働くミクロの自動機械(オートマトン)ができれば、治療戦略に使える。RNA工学の手法ときわめて親和性の高い「未来のミクロ診断治療薬」としての「DNA/RNAコンピューター」の概念に関しても紹介したい。

1.RNAiテクノロジーの進展とがん治療

RNAiテクノロジーは、実験室レベルでは、かつてなかったほどに強力な研究ツールとなっている(Novinaら、文献1)。哺乳類の遺伝子の働きを調べるための「逆行性遺伝学(reverse genetics)」の手法としては、従来、特定の遺伝子をノックアウトすることにより、その遺伝子の機能を調べることしかなかった。しかし、ノックアウトの方法は、往々にして難しく、多額の費用も要した。それに対して、RNAiで遺伝子発現を抑制する方法を取れば、比較的簡単な手順で、哺乳類の遺伝子ネットワークを解析することが可能になり、線虫(Cエレガンス)やショウジョウバエなどのモデル動物ではハイスループットの解析まで可能になっている。

 さらに、化学合成したsiRNAを用いることによって、ヒト細胞内での遺伝子機能を調べることも容易になってきた。ヒト細胞は長いdsRNAが入ると普通は死んでしまう。一方、21-22bpの短いRNA断片は、インターフェロン経路を活性化することはないが、配列は十分に複雑なバラエティを持っており、特異的に標的遺伝子を抑制可能である。ヒト遺伝子の標的化と機能解析を目的に、短いsiRNAのライブラリーや、siRNAをコードするDNAベクターのライブラリーが、約35000のヒト遺伝子のうちすでに8000個に関して作製され、がんなどの疾患に関する遺伝子機能の解析に応用されている。

SiRNAはがんの治療にも応用が広いと考えられて、さまざまな実験室レベルの研究が行われている。一例を挙げれば、Duke大学がん免疫治療プログラムのGilboaらは、抗腫瘍効果を高める免疫療法として、抗原提示樹状細胞(DC, dendritic cells)でのinvariant chain発現をsiRNAによってブロックし、DC細胞がDC自身の抗原をMHCクラスIIで提示できるように工夫している。上記のようなDCへのsiRNAの移入は、末梢血から分離培養して分化誘導したDCに、試験管内でsiRNAを入れればよいので、比較的容易である。

しかし、一般的に、遺伝子サイレンシングによる治療の臨床応用にとって、最も大きな障壁となるのが、どうやってsiRNAを標的とする組織や器官に入れるか、すなわち、DDS(drug delivery system)や遺伝子治療の研究と重なる課題である。これに関しては、ウイルスベクターを用いて標的細胞に発現させる方法(当特集の内田らの総説参照)、DNAベクターなどの非ウイルスベクターを用いて発現させる方法、siRNA分子をリポソームなどにくるんで標的細胞に取り込ませる方法、など、さまざまなアプローチが試みられている。

siRNAのテクノロジーのここ数年の進展は驚くべきものがあり(文献1)、本特集の多くはsiRNA工学による最新の情報が紹介されている。そこで、siRNA工学の応用に関して詳しい解説は本特集の他の総説に譲り、本総説では以下にsiRNA以外のテクノロジーに関して概観してみたい。

2.RNAサイレンシングによるがん治療


 アンチセンスオリゴヌクレオチドやリボザイムを用いて、細胞内のmRNAの発現を抑える方法は、従来から実験室レベルや動物治療実験レベルで盛んに研究されてきた(文献2)。ヒトのがん治療への応用として、慢性骨髄性白血病などで多く見られるbcr-abl転座の腫瘍特異的mRNA配列を標的としたリボザイム治療が興味深い(多比良らの総説参照)。ほかにも、c-myb、 p53 、Bcl-2、などの腫瘍関連分子を標的とした治療法は、それぞれ臨床研究にまで進んでおり、その結果が注目されている(文献3)。たとえば、Bcl-2遺伝子に対するアンチセンスDNAオリゴヌクレオチドを用いた肺がん(文献4)、乳がん、B細胞系の腫瘍(文献5)などに対する治療の臨床研究では、有望な結果が出つつある。Bcl-2オンコジーンの過剰発現したB細胞系のがんは、臨床経過がアグレッシブで化学療法や放射線療法に耐性となり、患者の予後も悪いことが知られている。このようながん細胞に対し、bcl-2 アンチセンスオリゴヌクレオチド(Oblimersen sodium、G3139、Genasense)を投与するとBcl-2オンコプロテインの発現を抑えることができる。その結果、化学療法剤に対する感受性が回復し、免疫療法などのバイオセラピーに関しても感受性が高まる(文献5)。また、Rudin CM ら(文献6)は、肺の小細胞がんの患者に対して、Bcl-2アンチセンスオリゴヌクレオチドに、カルボプラチン、エトポシドの組み合わせで第1相試験を行い報告している。

3.mRNAトランスフェクション

 クローン化された腫瘍特異的抗原のcDNAから転写されたmRNAや腫瘍細胞から調製したmRNAミックスを、抗原提示樹状細胞(DC, dendritic cells)にトランスフェクトして、悪性腫瘍などの治療に用いようとする発想である。DCにmRNAを入れて自己のペプチドとして発現させれば、DC細胞内での切断プロセスを経てMHCクラスIで提示し、CTL(cytotoxic T lymphocytes)を効果的に誘導することができる。従って、腫瘍特異的抗原が同定されている場合にはそのcDNAから調製したmRNAを、腫瘍特異的抗原が不明の場合には腫瘍組織から調製したmRNAの混合物を、それぞれトランスフェクションに用いて、外来性のmRNAから読まれる遺伝子産物をあたかも内因性の遺伝子産物であるかのように発現させて、CTLを誘導できる。「mRNAテクノロジー」ともいうべき単純な技術である。mRNAを使わなくてもプラスミド発現ベクターやウイルスベクターを用いた遺伝子導入法によっても、同様の効果が達成できるはずである。が、実際には、標的となるDC細胞への、ベクターによる遺伝子導入発現効率が総じて低いのに対して、エレクトロポレーション法などによるmRNAトランスフェクションと発現の効率が良いために、非常に注目されている手法である。

Gilboa EとVieweg J. らは、がん細胞から調製した粗mRNAをがん特異的抗原として自己DC細胞にトランスフェクトして、抗腫瘍活性を強化するワクチンとして使う治療を盛んに試みている。腎がんの第1相試験(文献7)では、ワクチン投与をすることにより、評価可能な7人のうち6人で腫瘍特異的なCTL(cytotoxic T lymphocytes)が誘導された。T細胞のターゲットとしては、テロメラーゼ逆転写酵素(TERT)、や腫瘍胎児性抗原のG250を始め、さまざまな腎がんに特異的な腫瘍抗原の誘導が得られたが、腎臓の正常組織で発現する自己抗原に対する反応は誘導されず、有害な副作用も認められないという有望な途中結果を報告している。

Ciscoら(文献8)は、抗原を提示させるためにmRNAをトランスフェクトするのではなく、DCの機能を修飾するために、構造的に活性化されたToll-like 受容体 4 (caTLR4、constitutively active toll-like receptor 4)遺伝子のmRNAをトランスフェクトして、DCを成熟させている。これに、腫瘍特異的抗原としてMART (Melan-A/MART-1)のmRNAトランスフェクションを併用することによって、効果的に腫瘍抗原に対するCTL免疫誘導を行っている。

4.アプタマー

  アプタマーの手法は、RNA、DNA、ペプチドその他の分子の高次構造が、RNA、DNAなどの核酸の構造やタンパク分子などの標的に結合したり酵素活性を持つなど、特定の機能を持つように工夫し、これを治療に用いようとするものである。たとえば、特異的な化学反応を触媒する酵素として働くモノクローナル抗体分子などを作製する技術も、広い概念ではアプタマー技術に分類できる。アプタマーをつくる素材としては、RNA、DNA、ペプチド、それらの複合体や多量体など、それぞれに関して可能性が開けている。アプタマー自体の働きはいわゆるsmall molecule(比較的小さな分子)に代表される医薬品としての概念に近いが、RNA、DNA、ペプチドなどの配列を自由に計画して容易に合成することにより、きわめて高いヴァリエーションの構造ライブラリーの構築と機能スクリーニングによる選択改良が可能なため、大きな可能性を秘めている。特にRNAは、「RNAワールド」の概念からも思い至るように、tRNA、リボソームRNA、mRNAその他、複雑かつ基盤的な生物活性を司っており、すでに生物の進化の出発点から自然進化の作った「アプタマー」として使われてきている。ただし、普通は、もともとからRNA結合能を有するタンパクドメインに結合するRNAリガンドのことはアプタマーとは呼ばない。RNAは構造的に柔軟性に富み、タンパクと相互作用できる多様な表面を提供できる(文献9)。きわめて多様な分子と結合する短いRNA分子を選択できることは、RNAの構造の多様性の証拠である(文献10)。狭義には、短いRNA配列のリガンドをアプタマーと呼ぶことも多い。RNAは、これから私たちが、難病の治療を目的に、人工的にアプタマーを作り改良してゆく場合にも絶好の素材である。

 RNA、DNAなどのフォスフォジエステル結合によるオリゴヌクレオチドを細胞内で働かせる場合に最も障害となるのは、内因性のヌクレアーゼによって急速に分解されてしまうことである。ヌクレアーゼに分解されにくくするためにさまざまな化学修飾が試みられてきているが、機能効率や特異性が低下するために満足できる解決法は確立していない。Darfeuilleら(文献11)は、HIV-1 TAR RNAを標的としたヘアピンRNAアプタマーを短縮したものを用いて、構造的にロックされた核酸(LNA, locked nucleic acid)とDNAキメラ(LNA/DNA chimera)とし(図1参照)、ヌクレアーゼに抵抗性のアプタマーが作れることを報告している。

現在注目されている新しい治療法として、血管内皮増殖因子(VEGF)などを標的とした抗血管新生治療がある。たとえば、、pegaptanib(EYE001)というEyetech/Pfizerが開発中のVEGFに対するアプタマーがある。Eyetech 研究グループ(文献12)では、この抗VEGFアプタマーを硝子体の中に直接投与することで、糖尿病性網膜症・滲出性黄斑変性症に対する第1相試験を行い、有望な結果を得ている。そのほかにも、BevacizumabというVEGFに対する抗体がGenentech/Rocheによって開発中である。一方で、いわゆるsmall molecule 医薬としては、NovartisとScheringが共同開発中のVEGF受容体チロシンキナーゼに対する阻害薬PTK/ZK、Eli Lillyが開発中の protein kinase C (PKC)-b 阻害薬ruboxistaurin などがある。これらはすべて、VEGF関連の血管新生を標的とし、糖尿病性の網膜症・末梢神経障害・黄斑浮腫、そして悪性腫瘍などを対象疾患として開発が進められている。このようにVEGF関連の血管新生を標的とした治療法の開発競争は非常に激戦区であるが、アプタマーを含め、さまざまなアプローチが比較検討され、それぞれの医薬としての得失が明らかになっていくことが期待される。

Hannoush RN ら(文献13)は、ヘアピンやダンベル型のsRNA(small RNA)をアプタマーとして用い、生体内でのウイルスの増殖に不可欠なHIV-1の逆転写酵素(HIV1-RT)のRnaseHを特異的に抑制している。Hannoush RNらのRNAアプタマーは、理論的には、RnaseHを標的としたsiRNAなどによるmRNAレベルでのサイレンシングと同様の結果が期待できる。ただし、sRNAがアプタマーとしてRnaseHタンパクの働きを抑えているのに対し、siRNAでは作用機序が異なり、mRNAの発現量を抑えることによってタンパクの発現を抑える。

一般的に、siRNAは標的の塩基配列から設計できるため、比較的簡単であるのに比べて、アプタマーの方はスタンダードな設計法は確立されておらず、難しい。けれども、アプタマーの場合、素材の自由さ(RNA、DNA、タンパク、その他、並びにそれらの複合物)、薬としての作用機序の単純さ(mRNAの破壊などの機序を介在せず、アプタマーそのものが薬として直接標的に働く)、薬として投与する方法の簡便さ(細胞内で発現する必要はない)、標的とのアフィニティーを高めるなどの改良をしてさらに優れたアプタマーを作製できる可能性など自由度が高く面白い。また、単に結合するだけではなく、酵素活性をもつアプタザイム(aptazyme)としたり(文献14)、微量分子のセンサーとしてのナノテクの技術に応用したり(文献15)と、アプタマー工学になるとテクノロジカルに面白いアプローチが多々ある。今後もさまざまな興味深い取り組みが進められてゆく分野であろう。

悪性腫瘍の治療などの標的を広く探す際には、一般論としては、設計の比較的容易なsiRNAなどで効果をスクリーニングし、その結果、標的が決まってしまえば、必要な状況に応じて、抗体をも含むさまざまのアプタマーの検討を通じて、高い治療効果の得られる薬剤を設計してゆく、というような二段構えの研究態勢で望むのが良いだろう。

5.DNA/RNAコンピューター


DNA/RNAコンピューターの概念は、アンチセンステクノロジーの面白い応用としての側面も持っており、ここで簡単に紹介したい(文献16)。Benensonら(文献17)は、特定の条件が整えば、アンチセンス治療薬を放出することができる分子コンピューターを作ろうとした。もし(if)ある診断条件(ある特定のmRNAの発現レベルが低く他のmRNAの発現レベルが高いなど)が真であれば、その結果として(then)薬が放出される。このif-thenメカニズムが、遺伝子発現の論理制御を可能とする自律的分子コンピューターの仕組みである(図2参照)。初期の生体分子コンピューターの研究では、複雑な計算問題を解くために、実験室規模において人間が補助するコンピューターに主眼がおかれていた。最近では、単純な分子スケールの自律的なコンピューターが報告されており、入力情報と出力情報の両方を分子状態で扱えるようになっている。このようなコンピューターは、生体分子を入力データとして、また生物活性を示す分子を出力として用いることで、生物学的過程の「論理的」制御システムとなる可能性がある(図3参照)。

Benensonら(文献17)は、in vitroにおいて、自律的な生体分子コンピューターがメッセンジャーRNA分子種の濃度を論理的に分析し、これに応じて遺伝子発現レベルに影響を及ぼしうる分子を生成できることを示した。このコンピューターは、3つのモジュールから構成される(図3参照)。演算モジュールは確率的な分子オートマトン(自動機械)である。入力モジュールによって、特定のmRNA濃度または点突然変異がソフトウエア分子濃度とその結果としてのオートマトンの転移確率を制御する。出力モジュールは、短い1本鎖核酸分子の制御された放出を行う。Benensonらは、この原理を実証するために、このコンピューターを、小細胞肺がんおよび前立腺がんのモデルに関連する疾患関連遺伝子群のmRNAを同定して分析し、抗がん剤として働くように作った1本鎖DNA分子を生成するようにプログラムした。

残念ながら、現時点では、生きている細胞のなかでこのようなメカニズムを働かせることはできていない。図3のFokI酵素などが、副作用が強いためである。しかし、将来的には、生化学センサー、遺伝子工学、さらには医学分野の診断および治療にin vivoで応用可能になるように技術開発が進むことであろう。DNAコンピューターは、細胞に入れると細胞のmRNAなどのインプットに応じて、アウトプットとしてsiRNAなどを放出する、という形にできれば、治療戦略になる。アウトプットとしては、siRNAに限らず、RNAアプタマーなども工夫次第では可能となるかもしれない。未来のミクロ医薬として面白い概念である。


おわりに

RNA工学をがん治療の戦略として考えると、臨床研究が進んで実用化段階に近づいて来ているものは、Bcl-2などのオンコジーンを標的としたアンチセンス治療など、2、3を数えるのみである。しかし、この総説で概観してきたように、siRNAによるmRNAサイレンシング、mRNAトランスフェクション、RNAアプタマー、などさまざまな技術が開発され、最近では臨床研究でも試みられ始めている。今後の展開が楽しみである。

文献

  1. Novina CD et al., The RNAi revolution Nature 430, 161 - 164, 2004.
  2. Scanlon KJ ed. Therapeutic applications of ribozymes.  Methods in Molecular Medicine, Vol.11, Humana Press, 1998, Totowa, New Jersey.
  3. ewirtz AM.  Oligonucleotide therapeutics: clothing the emperor. Curr Opin Mol Ther. 1(3):297-306, 1999.
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  5. Chanan-Khan A et al. Bcl-2 Antisense Therapy in B-cell Malignant Proliferative Disorders.  Curr Treat Options Oncol. 5(4):261-7, 2004.
  6. Rudin CM, et al. Phase I study of G3139, a bcl-2 antisense oligonucleotide, combined with carboplatin and etoposide in patients with small-cell lung cancer.  J Clin Oncol. 2004 Mar 15;22(6):1110-7.
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  11. Darfeuille F   LNA/DNA chimeric oligomers mimic RNA aptamers targeted to the TAR RNA element of HIV-1.  Nucleic Acids Res. 2004 Jun 4;32(10):3101-7, 2004.
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  14. Liu J, Lu Y.  Adenosine-dependent assembly of aptazyme-functionalized gold nanoparticles and its application as a colorimetric biosensor. Anal Chem. 76(6):1627-32, 2004.
  15. Srinivasan J, et al.  ADP-specific sensors enable universal assay of protein kinase activity.  Chem Biol. 11(4):499-508, 2004.
  16. Condon, A. Automata make antisense.  Nature 429: 351-352, 2004
  17. Benenson Y et al. An autonomous molecular computer for logical control of gene expression   Nature  429, 423-429、2004.

図の説明

図1 核酸モノマーとミニTARアプタマーのキッシング複合体

DNA、RNA、LNAモノマーで使われている糖の化学構造。(B)R0616アプタマー(太字)とミニTARのRNAとの間で形成されるループ・ループ複合体。ミニTARはレトロウイルスのTARエレメントの上部に対応する不完全なヘアピン構造である。試験管内の選択によって得られたコンセンサスの8マー(5'-GUCCCAGA-3')がイタリックで示されている。アプタマーのループを閉めるGとAの残基には下線が引いてある。 Darfeuille F  LNA/DNA chimeric oligomers mimic RNA aptamers targeted to the TAR RNA element of HIV-1.  Nucleic Acids Res. 32(10):3101-7, 2004. 文献11 より引用。

図2 自動機械(オートマトン)の抽象的な概念。Benensonらの分子自動機械では、細胞内の特定の診断条件(特定の指示分子 indicator moleculesの濃度の高低)を理論的にテストする。各移行段階で、診断状態は、それまで調べられたすべての条件が真であったポジティブ(yes)ないし、それまで調べられた条件の少なくとも一つが偽であったネガティブ(no)のいずれかである。4つすべての条件が満足された場合には、全体としてポジティブ診断となり、治療薬が放出される。Condon, A. Automata make antisense.  Nature 429: 351-352, 2004. 文献16 より引用。

図3 Benensonらの分子診断と治療のための自動機械(オートマトン) a、オートマトンの初期状態はヘアピン構造である。最終的に放出されることになる薬剤は、このプロドラッグ構造のなかで4つの「ガード(guard)」塩基配列によって保護されたヌクレオチド配列である。各段階でそれぞれ特定の指示(indicator)分子の濃度レベルが適当であれば、ガード塩基配列の一つがヘアピンステムから切断されて、あるyes段階から次のyes段階への移行が起こる。 b、最終的なyesへの移行が起こるために必要とされるオリゴヌクレオチドのキャストたちの初期の形状。 c、最終的なyesへの移行が起こるためには、オリゴヌクレオチド相互の提携がシフトする。Eveは今までAliceとくっついていたが、指示分子4と結合する。残されたAliceはBobと結合する。Alice-Bob複合体は、ガード分子4と結合する。 d、FokI酵素は、Alice-Bob複合体がガード分子4と結合したときにできてくる配列を認識し、その結果として、ガード分子4を切り離す。それによって、最終的なyes状態が作られ、薬剤が放出される。Condon, A. Automata make antisense.  Nature 429: 351-352, 2004. 文献16 より引用。

図1


図2


図3






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2004年7月23日b  腫瘍の特異的標的化を目指した遺伝子治療法の開発

2004年7月23日c  Bone marrow stem cells (MSC) for clinical applications

2004年5月30日   アポートシス誘導タンパクのBaxを発現するプラスミドを併用すれば、DNAワクチンによる細胞性免疫反応の両方を高めることができる

2004年4月26日   マウスの骨髄幹細胞(MSC)の増殖速度・分化能・表面形質・などは、マウスの系統によって異なる

2004年2月18日    シンドビスウイルスによる転移性腫瘍の標的化治療

2003年12月18日b  SCID-X1遺伝子治療を受けた2人の患者でLMO2ローカス変異に伴うT細胞白血病が発症した

2003年12月18日     「短くまとめること」の勧め  

2003年11月18日  研究の概要 H.HAMADA 1981-2003

2003年6月11日  年金の話「年金を知れば国の仕組みが見えてくる」

2003年5月26日 組み換えアデノウイルスの改変と宿主との相互作用に関する研究:2年間のまとめ

2003年5月20日 
腫瘍の特異的標的化を目指した遺伝子治療法の開発 2001-2003の研究のまとめ


2003年5月20日a Bmi-1は成体のHSCの増殖に不可欠

2003年5月19日a 
PDGF-BBとFGF-2の併用で血管新生: angiogenic synergy and vascular stability


2003年5月19日b 札幌医科大学でのアンジオポエチン(Ang1)遺伝子治療進捗状況

2003年5月13日a 脊髄損傷の再生医療

2003年5月12日a Wntタンパクの精製と造血幹細胞の増殖

2003年5月12日b Ligand-receptor binding by TALL-1

2003年5月8日a 癌学会抄録2003

2003年5月8日b ホームページに関するお願い

2003年5月7日a GCP,GMPとGLP:臨床研究に関連した略語の解説

2003年5月2日a Insulin/IGFと再生・遺伝子治療    

2003年5月2日b アデノウイルスベクターの末端の配列

2003年5月2日c 当部のアデノウイルスベクターpAx3シリーズ

2003年5月2日d 骨髄由来の幹細胞の主な起源は細胞融合


2003年5月2日e  VEGFとAng1の併用が有効

2003年5月2日f 
E3プロモーターで外来遺伝子をドライブするオンコリティックウイルス
Oncolytic viruses pack a timely punch.  その1


2003年4月25日 消化器癌の遺伝子治療   
(Virotherapy: Replication-selective viral therapy for cancer)

2003年4月22日 幹細胞注入で多発性硬化症マウスモデルの麻痺が改善

2003年4月21日a ホームページ更新再開

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