ピノキオの脳を持つ男
2004年9月24日
「2つの脳を持つ男」、スティーブ・マーティン主演映画。腕の切れるかっこいい脳外科医の(恋の)物語だ。ピノキオの脳を持つ男、というのは、私の造語で、私のようにだまされやすい男の子のことをいうのだ。(女の子でもOKだが、ピノキオは男の子なので。また、男の子を、「大学教授」と置き換えても良いのだが、一部の賢い大学教授から誤解されるのを避ける必要があるので。)ピノキオが悪党にだまされ、金貨を埋めて金貨の樹が生えてくるのを期待した逸話を連想している。
最近は、知財関連で、特許明細書や共同研究契約その他に関連してさまざまな書類や契約書が厖大に机の上に届く。積まれる。でも、読む暇がない。ページ数が多すぎ、表現が難しすぎる。
私の本業は、研究。
が、読んでもない契約書などに、サインするのは、危ない。私宛のメールに添付されてきた(私が読んでいない)契約書原稿を友人に見てもらったら、これではあんまりひど過ぎると(彼は)怒りまくっているとのこと。へぇー、どうして? 契約期限の切れた**年後には、無料で権利を差し上げますよ、という一文が紛れ込んでいますよとのこと。へぇー、なるほど、そんな契約書もあるんですねぇ。この時、paid-upという英語の単語の意味を初めて知った。そして、この時、「あ、僕ってピノキオみたい」、と感激したのである。最近、つくづく反省して、息子(9歳)にこのことを話したら、大馬鹿だ、と決めつけられた。
反省:あらゆる契約書は、相手方にきちんと日本語で説明してもらった上、さらに十分に専門家(弁護士など)と相談した上で、納得し、サインすること。だから、上記のような契約にはサインしない。親切に教えて下さる友人がいて、本当に心強い。が、大学教授が、そんなお馬鹿な男の子で良いのか?
患者のことを真に思いやる立派な医者は、詐病にはきわめてだまされやすい。患者のためなら、だまされたって、いいじゃないか。
一方、研究に夢を追っている大学教授を、人々がだますのはきわめて容易。(むごいたとえだが)赤子の手をひねるようなもの。が、私の場合、今まで、こんな職業を選び、ことさら、無防備に生きてきたので、今更、変えたくない。
ピノキオの本当の真価が問われるのは、おじいさんと鯨のおなかの中に閉じこめられた局面だ。ここで、本当の勇気を発揮して、おじいさんを救えるかどうかだ。だから、多少の金貨をだまし取られても、自分はピノキオなのだと諦め、開き直って、鯨のおなかに飲まれるまで、自分の道でがんばり続けることとする。