第2章-頭頚部-
2.10 副咽頭間隙 (図240,713,859,863,888,889,891--896,900)

解剖学書では副咽頭間隙咽頭側隙と呼ぶ。頭部から頚部を結ぶ大交通路である。今までに見つかった太い血管・神経を、咽頭の後方側で外頭蓋底までひたすら上方に追及する。まだ、環椎・軸椎がはずれていなければ、頭部から慎重に除去する。これによって副咽頭間隙上部の解剖が容易になる。

茎突舌筋茎突咽頭筋茎状突起から一束のごとく起こるので、茎状突起の触診から求める(図859,863)。茎状突起からは、茎突舌骨筋も起こる。茎突舌骨筋はすでに顎下三角で見つけたはずだ。3筋の中では茎突舌筋が強い。ここでに外舌筋(口蓋舌筋オトガイ舌筋舌骨舌筋茎突舌筋など)の確認をする(図741)。

Parapharyngeal space 副咽頭間隙
Glossopharyngeal nerve 舌咽神経
*Styloglossus muscle 茎突舌筋
*Stylopharyngeal muscle 茎突咽頭筋
Styloid process 茎状突起
*Stylohyoid muscle 茎突舌骨筋
*Palatoglossus muscle 口蓋舌筋
*Genioglossus muscle オトガイ舌筋
*Hyoglossus muscle 舌骨舌筋
迷走神経副神経交感神経幹には、頭部離断の折に糸を結んだ。交感神経幹上頚神経節をきれいに剖出する(図892)。外頚動脈内頚動脈内頚静脈は、容易に分かるだろう。舌下神経もすでに剖出されている部分から後頭骨に向けて追求する。後頭動脈上行咽頭動脈顔面動脈枝上行口蓋動脈も太い部分が見つかる(図900)。これから自律神経系の解剖が増えてくる。知識は整理されているだろうか(図240)。 IXX神経節は見つかっただろうか。

この機会に、咽頭壁の構成を解剖する(図891--896,888,889)。咽頭壁固有の筋、つまり咽頭収縮筋にとって外側の有力な付着は舌骨だけである。まず舌骨大角の輪郭をきちんと剖出する。上咽頭収縮筋中咽頭収縮筋の間には隙間があり、そこから茎突舌筋茎突咽頭筋が内方に進入する。茎突咽頭筋は咽頭収縮筋の内面にはいりこんで停止する。さらに粘膜下を喉頭蓋に流れる筋束はないか観察せよ。咽頭壁の隙間から進入する舌咽神経舌枝上行口蓋動脈を確認する(図xxx)。輪状軟骨の後方で、咽頭食道境界部後壁脆弱部を確認する(図713)。この脆弱部を内視鏡検査などの際に損傷することがある。

Superior cervical ganglion 上頚神経節
Hypoglossal nerve 舌下神経
Occipital artery 後頭動脈
*Ascending pharyngeal/palatine artery 上行咽頭/口蓋動脈
Pharyngeal constrictor muscle(Superior/Middle/Inferior)- 上/中/下 咽頭収縮筋
Hyoid bone 舌骨
Epiglottis 喉頭蓋
Glossopharyngeal nerve 舌咽神経

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