第2章-頭頚部-
2.11 口腔壁 (751,843--847,850,851,853,855--857,859,860,862--865)

顎下三角で剖出した口腔底を内面からも解剖する。

1) 外面から顎舌骨筋オトガイ舌骨筋を確認し、剖出が不足していれば追加する(図855)。顎舌骨筋神経を再確認する。

2) 顎下腺を外方に脱転しながら、深側に顎下腺管を追及する。顎下腺管沿いに顎下腺の外側突起と言う部分が長く伸びていることがある。顎下腺管を口腔粘膜近くまでたどると舌下腺が見つかる(図855)。この過程で舌神経も見つかるはずだが、口腔側からすぐ見つかるから今は無理しなくていい。

Floor of the oral cavity 口腔底
Mylohyoid muscle 顎舌骨筋
Geniohyoid muscle オトガイ舌骨筋
Submandibular/Sublingual gland 顎下/舌下腺
Submandibular duct 顎下腺管
Oral mucosa 口腔粘膜
Lingual nerve 舌神経
3) 舌下神経舌動脈を外方から剖出して舌根まで追及しておく。舌動脈を追うために舌骨舌筋を上方に反転する。舌下神経には静脈が伴走している。舌動脈舌神経舌下神経舌咽神経がそれぞれ異なるコースから舌に到達していることを確認する(図xxx)。扁桃窩で見つけた舌咽神経を、今日の作業中に切らないように注意する。

4) 下顎骨を口腔内から触れながら、骨に近接する口腔粘膜をピンセットで除去する。臼歯部(臼後三角)の粘膜を剥がし(図xxx)、口腔内から下顎骨と舌の間で舌神経を剖出する。驚くほど粘膜の近くを走る。下顎角近くで、舌神経に接して顎下神経節があることを念頭におき、下顎骨と口腔壁を徐々に引き離しながら、舌神経を上方まで追求する(図xxx,xxx)。

Root of tongue 舌根
*Hyoglossus muscle 舌骨舌筋
Molar/Premolar 大/小臼歯
Submandibular ganglion 顎下神経節
5) 再び外面から口腔底を剖出する(図751,855)。顎舌骨筋オトガイ舌骨筋オトガイ舌筋が、まだ下顎骨に付いていれば骨から剥がし取る。を下顎骨から引き離しながら、舌下神経舌神経の吻合を明らかにする。

6) 顎下腺に接して顎下神経節を舌神経の走行を追いながら探す。顎下腺と舌下腺への 副交感神経路の中継点である(図751)。

7) 舌・口腔壁の感覚を整理する(図xxx)。舌の発生はラングマン p.294-295 参照。余裕があれば、内舌筋(下縦舌筋横舌筋垂直舌筋)の錯綜した走行を確認する(図864)。

下顎底に囲まれた口腔底という構造が理解できただろうか。


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