第2章-頭頚部-
2.13 鼻腔・副鼻腔・翼口蓋窩
(図777,790,825--827,829--831,833--839,842,845,852,866)


1) 切半した頭部を内側から再度観察する(。鼻中隔は鼻中隔を構成する骨(軟骨)を確認してからリューエルで除去する(図829)。鼻甲介鼻道を確認する。

Pterygopalatine fossa 翼口蓋窩
Nasal septum 鼻中隔
Upper/Middle/Lower nasal concha 上/中/下鼻甲介
Upper/Middle/Lower nasal meatus 上/中/下鼻道


2) 顔面から上顎洞を開放する。頬骨弓が残っていれば、それをリューエルか鋸で除去するつもりで上顎骨外側部を削り落とす(図790)。わずかでも上顎洞が開いたら、あとは指が入る程度に孔を拡大する。この作業で、眼窩下神経枝の後上歯槽神経が切れるかも知れない。光に透かして、上顎洞の内側壁の厚さを確認し、開口部を探す。外側から慎重にゾンデを通す。ゾンデが中鼻道に出てくるだろうか(図826)。鈎状突起中鼻甲介に隠れて見にくいが、上顎洞自然口を確認せよ。必要に応じて中鼻甲介と下鼻甲介をリューエルで除去し前頭洞蝶形骨洞の開口を同様に確認する(図826)。

上顎洞視神経の近接関係に注意する(図836)。上顎洞篩骨洞(篩骨蜂巣)の広がりは、粘膜の付いた状態で確認した後、骨標本(当日供覧)を観察する。

3) 口蓋粘膜を剥がし、硬口蓋後部の外側縁で大口蓋神経をつかまえる(図845)。口蓋粘膜と口蓋腱膜を一緒に骨から剥がしながら見つけると早い。リューエルとノミで慎重に骨を削りながら大口蓋神経下行口蓋動脈を上方に追及する(図833--835)。

Maxillary sinus 上顎洞
Posterior superior alveolar nerves 後上歯槽神経
Uncinate process of ethmoid bone 鈎状突起
Ant./Post. ethmoidal sinus (air cells) 前/後篩骨洞(篩骨蜂巣)
Great palatine nerve 大口蓋神経
Descending palatine artery 下行口蓋動脈


4) 同時に、眼窩下壁を削って眼窩下神経の全長を剖出する(図866)。頭蓋底で正円孔を通る上顎神経を確認する(図777,836)。眼窩下神経と大口蓋神経が直角に合流して上顎神経に続く。そのすぐ下方に翼口蓋神経節がある。後方から翼口蓋神経節に至る翼突管神経は、蝶形骨洞外側壁を削って剖出する。{翼口蓋神経節が位置する翼口蓋窩には、側頭下窩から蝶口蓋動脈{がはいる。蝶口蓋動脈はすでに側頭下窩で顎動脈枝として同定している。

5) 口蓋の後方では、耳管隆起耳管咽頭口を確認する(図826)。中耳の剖出が終わっていれば、耳管咽頭口から慎重にゾンデを入れてみる。口蓋腱膜(かなり深く骨に接する)をたどって翼突鈎の滑車にかかる口蓋帆張筋の腱を剖出する。挙筋隆起の粘膜をはかすと口蓋帆挙筋が見つかる。また口蓋帆張筋口蓋帆挙筋は嚥下において重要な筋だが、位置関係が分かりにくい。(図xxx)。位置関係のわかりにくい筋の代表だ。

Maxillary nerve 上顎神経
Pterygopalatine ganglion 翼口蓋神経節
Nerve of pterygoid canal 翼突管神経
Sphenopalatine artery 蝶口蓋動脈
*Torus tubarius 耳管隆起
Auditory tube 耳管
Pharyngeal opening of the - 耳管咽頭口
Pterygoid hamulus 翼突鈎
*Tensor veli palatini m. 口蓋帆張筋
*Levator veli palatini m. 口蓋帆挙筋
6) 残り一側の眼窩の剖出をこの機会に行い、眼窩に出入りする神経(II-VI)を確認しよう。


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