第2章-頭頚部-
2.7 頭部離断
(図721,852,890)
すでに、背部は後頭下筋まで剖出が進み、脊髄は摘出され、頚部は頚神経叢の観察が、咽頭・喉頭では一側で観察が、終了しているはずである。迷走神経、副神経、頚部交感神経幹などはラベルし終わっているか。
頚部内臓とそこに付く血管・神経を大きく上方に反転する。脊柱と頚部内臓の間のゆるい咽頭後隙をできる限り上方、外頭蓋底まで剥離開放する。
簡単のため第2・3頚椎間で脊柱と周囲の筋・靭帯を切断する。ライヘを prone(伏臥位)にして、強大なC2棘突起を再確認する。背部からC2-3間に鋸を入れ、一気に脊柱と周囲の筋を切断する。すでに脊髄が摘出されていれば切断は容易である。上方に反転した頚部内臓と血管・神経を損傷しないように注意する。以上の作業により、頚部内臓とその血管・神経を付けた状態で、頭部が頚部背柱から離れる。背柱側で横突孔を開放して、脊髄神経根と椎骨動脈を剖出する(図721)。
頭部離断の方法としては他に、環椎後頭関節を剥がす方法や、後頭骨を鋸で切断して大孔・後頭顆を脊柱側に付ける方法などが行なわれている。いずれも頚神経叢全体を温存することを目的とした手技であるが、X-XIIを破損しやすい。
Spinal cord | 脊髄 |
Vertebral column | 脊柱 |
Transverse foramen | 横突孔 |
Vertebral artery | 椎骨動脈 |
Atlanto-occipital joint | 環椎後頭関節 |
Occipital bone | 後頭骨 |
Foramen magnum | 大孔 |
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