第2章-頭頚部-
2.8 後頭下の関節 (図636,639--645,647--653,741,893)

時間が足りない時は、第1-2頚椎も含めて頭部を正中線で切半する。環軸関節は切断面で観察する。時間に余裕があれば、第1-2頚椎を順番にはずしながら関節を観察する。その場合も、切断面を観察する班に加わり、軸椎の動きを見ておくこと。

1) 最初に環椎後頭関節をはずす(図647,648,650)。内頭蓋底から見て、後縦靭帯に続く強靱な結合組織を大孔周囲からメスで除去する。斜台からすべり台を降りるようにメスかノミを進める(図741,XXX,893)。舌下神経管温存のため、後頭骨を割らないように注意する。軸椎歯突起に付く靭帯も切除し、歯突起の先端を掘り出す(図641,651)。外側と大孔内から靭帯を切断し、後頭骨から環椎を剥がす。椎骨動脈がどうなったか、まず確認しておく。

Lateral/Median atlantoaxial joint外側/正中環軸関節
Axis軸椎
Dens歯突起
Atlanto-occipital joint環椎後頭関節
Posterior longitudinal ligament後縦靭帯
Foramen magnum大孔
Clivus斜台
Hypoglossal canal舌下神経管
Occipital bone後頭骨
Atlas環椎
Vertebral artery椎骨動脈

2) 環椎軸椎がはずれたら、環軸関節(図649--653)を回旋させながら、メスで歯突起の先端を露出させていく。この過程で翼状靭帯が切れる。環椎十字靭帯を除去し、正中環軸関節を開放する(図650,652)。ここでも基本構造をなす後縦靭帯は脊柱管の前面で椎体後面をつなぎ、肥厚して蓋膜と呼ばれる。蓋膜の前に接して環椎十字靭帯がある。

*Alar ligament翼状靭帯
*Cruciform ligament環椎十字靭帯
*Tectorial membrane蓋膜



3) 最後にメスを外側から入れて、外側環軸関節に平面的に進入する(図647)。軸椎はノドボトケと呼ばれて火葬後の骨拾いの際に重要視される。道内では特に重視するので、北大では学生が軸椎を損傷しないように注意している。

4) もう一度2つの骨を後頭下にはめこんでみて、その前に頚部内臓の何が位置するか確認しておく。口腔の後方にある椎骨は何番か。


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