Chapter 4-2

第4章-体壁-

4.2 胸壁 (図145,162,184,185,229,233,239)

1. 大胸筋・小胸筋を剥がした後、開胸前に余裕があれば以下の事項を確認したい。

腹直筋が前胸壁下部の外面にも伸び出して付着していること。サンショウウオのように、腹直筋から舌骨下筋群まで一続きの筋が観察される動物もいて、直筋系と呼ばれる。
前胸壁の胸骨近傍には外肋間筋が存在しないこと。代りにこの部分には腱膜がある。
外腹斜筋が前鋸筋と噛み合うように肋骨に付着し、胸壁にも広がっていること。

2. 開胸の後に解剖する事項としては下記の通り。

前胸壁：開胸後(5.1.1)、いつでも解剖できるが遅くなるほど乾燥しやすい。
- 胸横筋-肋間神経・内胸動脈枝-内肋間筋-外肋間膜という層構成(図162,145)。
- 横隔膜と胸横筋が肋骨弓に交互にかみあって付着していることに注目したい。

後胸壁：肺を摘出し、後縦隔の解剖(5.4.2)が進んでから行なう。

最内肋間筋・肋下筋-肋間神経・肋間動脈-内肋間筋-外肋間筋という層構成。

	最内肋間筋は近年まで英語には存在しなかった(図239)。
	日本だけで、外肋間筋の神経が肋間神経の根部から分れて内・外肋間筋の間の層を走ることが認識されている。

本当に上からVAN(Vein-Artery-Nerveの順)で配列するか。

	肋間静脈-肋間動脈-肋間神経
	トラカール手技で重要(5.1.1)。

呼吸と胸郭運動を考える。

	胸郭の上下-胸郭容積の大小(図184,185)
	肋骨頭関節(回旋)、肋横突関節(支点)
	なぜ外肋間筋(内肋間筋)が肋骨を上げる(下げる)ことができるのか。

横隔膜(5.1.2)：横隔膜は体壁筋として扱う。

開胸時の観察(図162)

	上腹壁動静脈が横隔膜の起始部を貫通して腹壁に出現する部位に注目する(5.1.2)。
	胸肋三角、モルガニ孔ヘルニア(5.1.2)

胸腹部内臓をはずした後の観察(図229,233)(6.4.2)

	下横隔動脈は上面にも分布しているか？(上横隔動脈という動脈はない)
	大静脈孔、食道裂孔、大動脈裂孔の高さ-第○椎骨(Th.8,10,12)
	大内臓神経、胸管、交感神経幹の貫通部位は
	内側弓状靭帯、外側弓状靭帯とボホダレック孔ヘルニア(6.4.2)

Intercostal nerve	肋間神経
Posterior intercostal artery	肋間動脈

注: 英語の成書では肋間動脈には Posterior がつく。

Diaphragm	横隔膜	Diaphragma
Superior epigastric artery/vein	上腹壁動脈/静脈
*Sternocostal triangle	胸肋三角
Inferior phrenic artery	下横隔動脈
Vena caval aperture	大静脈孔
Aortic hiatus	大動脈裂孔
Esophageal hiatus	食道裂孔
Greater splanchnic nerve	大内臓神経
*Lumbocostal arch	内側/外側弓状靭帯

神経から見た胸壁筋と腹壁筋の対応

胸部						腹部
----------------------------------------------------------
var.胸骨筋は対応しない(3.2.1)	腹直筋
外腹斜筋の胸部およびvar.肋上筋の一種		外腹斜筋
外肋間筋および後鋸筋				腰方形筋
内肋間筋					内腹斜筋
胸横筋						腹横筋
最内肋間筋					腹横筋
肋下筋						腹横筋

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