第6章- 腹部・骨盤部-
6.3 腹部消化管
6.3.1 腹腔動脈、上腸間膜動脈
(図292,295,297,298,300,302,316,326,330,339,34
1,345,365)
腹腔動脈枝と上腸間膜動脈枝の血管造影 angio は国試頻出問題である。
まず胃大弯(図295)と空腸・回腸の血管を剖出する。トライツ靭帯 Treitz's ligament(ないしそれに相当する部分)に糸を結んで回るから、注意して温存する。トライツ靭帯は、十二指腸空腸曲から膵臓後方を経て横隔膜右脚にいたる結合組織索で、臨床ではトライツ上部あるいは下部というようにしばしば位置の基準として用いる。次いで、食道から迷走神経をたどり、噴門部後方で迷走神経腹腔枝を確認する。これも後の作業中に切れやすいので注意する。胃小弯の動脈(左・右胃動脈)はすでに剖出されているはずだ(6.2.1)。
Celiac trunk(Celiac axis) | 腹腔動脈 | Truncus celiacus |
Sup. mesenteric artery | 上腸間膜動脈 | Arteria mesenterica sup. |
Stomach | 胃 | Magen,Gaster,Ventriculus |
Greater/Lesser curvature | 大/小弯 | |
Cardia | 噴門部 | |
Suspensory lig. of duodenum | トライツ靭帯 | Treitz's ligament |
Ileal/Jejunal arteries | 回腸/空腸動脈 | |
回腸・空腸の血管は腸間膜の1面からだけ剖出する(図326)。反対面をきれいに残しておくと、美しいだけでなく剖出中の人為的な腸管のねじれにすぐ気付く。生体でねじれたまま腹腔にもどせば、イレウス(腸閉塞)で死に至るかも知れない。小腸間膜根は通常は左上から右下に向かって斜走するが、変異があれば報告する。腸間膜の動静脈の基本構成は、幹動脈-辺縁動脈-直動脈からなる。幹動脈はノミナの付いた動脈で、回腸・空腸の場合は例えば回腸動脈といっても複数ある。辺縁動脈は腸管に沿って動脈アーケードを作り、そこから腸管に多数の直動脈が出る。直動脈の1本1本は、特定の小領域を独占的に栄養する「終動脈」と考えられている。回腸より空腸の方が直動脈が密である。空腸より回腸の方が辺縁動脈が複雑で、アーケードが多層構成になっている。ライヘで確認されたい。
回腸・空腸の血管は、あまり末梢(腸管側)にこだわらず、SMA(上腸間膜動脈)根部に近い部分から行ない、なるべく早くSMA根部に到達する。リンパ節(例えば胃癌の14番)、時にかなり太いリンパ管、自律神経線維束が、腸間膜内の血管に沿って観察される。これらは観察しながら除去して、血管を露出させていく(図326)。SMA根部には、強靱な線維性結合組織のような神経叢が発達している(図365)。ハサミをうまく使って神経叢を大きく開き、視野を作る。SMAが大動脈から起こることが確認できる程度に神経叢を残しておく。臨床では、動脈周辺のこの神経叢を取り除くと激しい下痢などで術後管理が大変だ。図330を読むのは易しいだろう。虫垂動脈とその間膜は確認しているか(図339)。
Appendicular artery | 虫垂動脈 |
Mesoappendix | 虫垂間膜 |
胃大弯に沿って左右の胃大網動静脈を剖出する(図292,295)。膵の上縁で脾動静脈を剖出する(図295)。脾動脈の枝で、胃の後方に分布する後胃動脈は50%で存在するが、解剖の本には書いていない。見つかったか。脾に近接して左胃大網動脈の根部と短胃動脈を探す。脾臓の観察もこの機会に行なう(図300,302)。脾の上縁に多いくびれは肋骨によるものではない。脾の下極に割を入れて、被膜と断面を観察する(図xxx)。肝や肺の断面とどこが違うだろうか。
胃の多くの静脈は動脈に伴走しているが、右胃大網静脈だけは違う。横行結腸から来る中結腸静脈と合流して太いヘンレの胃結腸静脈幹を作り、膵頭下方の膵切痕付近で深部に入る。門脈本幹は膵頭の後方で形成される。腸に始まり肝に終わる「門脈」という静脈について整理できているだろうか(図 298,316)。
Gastroepiploic artery/vein | 胃大網動/静脈 | |
Splenic artery/vein | 脾動/静脈 | A./Vena lienalis |
(Henle's) gastrocolic trunk | ヘンレの胃結腸静脈幹 | |
Middle colic vein | 中結腸静脈 | |
Portal vein | 門脈 | |
Posterior gastric artery | 後胃動脈 | |
Short gastric artery | 短胃動脈 | |
ここで胃の区分を整理しておく。臨床では、小弯と大弯の3等分点を結んで人為的に引いた境界により、C領域・胃上部(=概ね噴門部 Cardia)、M領域・胃中部(=概ね胃体部 Body)、A領域・胃下部(=概ね幽門部(幽門洞)ないし前庭部 Antrum)に分ける。例えば中心病巣がMで、MとCの2領域にまたがる癌なら、MC癌というように表現する。生体では小弯のA-M境界付近に顕著なくびれがあり、胃角(解剖用語では角切痕)と呼ばれる。生体で立位レ線上(図xxx)、最も垂れ下がった下部を胃底、空気(胃泡)が入って膨らんだ最上部を胃窮隆(窮隆部)と呼ぶ。つまり、C領域・胃上部・噴門部・窮隆部という用語が重複する。解剖学では古来そこを胃底と呼び、胃底腺という名称は今でも生きている。A領域・幽門部の中で胃体部よりの部分は、内視鏡で見ると比較的平滑な筒状になっており、ここを前庭部とか幽門前庭と呼ぶ。幽門管という用語もあるが、あまり厳密に使い分けされていないように思う。
Cardiac orifice | 噴門 |
Body | 胃体(部) |
(pyloric)Antrum | 幽門洞(しばしば幽門部と同義) |
*Angular notch | 角切痕 |
■付図(胃癌取り扱い規約によるリンパ節)
■付図(胃の造影)
■付図(膵臓の動脈)
■エコー課題
まだコッヘル授動術が行なわれていなければ、膵頭十二指腸のすぐ後方のシヒトを右から剥がして膵頭部を内側に反転する。コッヘル授動術の際に、すでに糸でラベリングしてあるトライツ靭帯を温存する。十二指腸の第1-4部は確認しているか(6.1.6)。膵の区分を述べる。膵頭は十二指腸から門脈及び上腸間膜静脈左縁まで。左方に残る部分を2等分して膵体・膵尾と呼ぶ。従って門脈形成部は膵頭後方にある。膵頭部の血管を後方からも剖出する。後方から見ると門脈本幹がはっきりわかるはずだ。膵頭十二指腸の前(後)面には前(後)膵十二指腸動脈アーケードがある。前・後の上・下膵十二指腸動脈が吻合してアーケードを作る。この他に、膵体下縁には下膵動脈があり、後膵動脈と大膵動脈が下膵動脈と脾動脈を結ぶ。後膵動脈は膵頭膵体境界付近、大膵動脈は膵体膵尾境界付近にある。膵頭前面を左右に横切る膵横動脈もしばしば出現する。多くの解剖学の図譜・教科書では膵の血管が弱い(図316)。図297は読めるようになっただろうか。もう読めなくてはいけない。多くの先輩が5年になってから、これが読めないので夏休みなどに解剖させてくれと泣きついて来る。エコーで自分のおなかで復習して欲しい。
Pancreas | 膵臓 | |
Body of pancreas | 膵体 | |
Head of pancreas | 膵頭 | |
Tail of pancreas | 膵尾 | |
Ant. sup./inf. pancreaticoduodenal artery | 前上/下膵十二指腸動脈 |
Post. sup./inf. pancreaticoduodenal artery | 後上/下膵十二指腸動脈 |
*Inferior pancreatic artery | 下膵動脈 |
*Dorsal pancreatic artery | 後膵動脈 |
*Arteria pancreatica magna | 大膵動脈 |
*Transverse pancreatic artery | 膵横動脈 |
膵頭後方で上腸間膜静脈 SMV と脾静脈が合流して門脈本幹ができる。下腸間膜静脈 IMV は同名の動脈と離れて十二指腸空腸曲の左上方を経て膵後方まで上行する。門脈への合流型には変異が多い。ヘンレの胃結腸静脈幹は SMV の終末部に注ぐことが多い。膵頭後面には動脈に伴走しない膵横(ないし膵峡)静脈が出現する。
Superior mesenteric vein (SMV) | 上腸間膜静脈 |
Inferior mesenteric vein (IMV) | 下腸間膜静脈 |
(Henle's) gastrocolic trunk | ヘンレの胃結腸静脈幹 |
*Transverse (or Ithmic) pancreatic vein | 膵横(膵峡)静脈 |
左胃動脈、総肝動脈、脾動脈を再確認してから、腹腔動脈根部の剖出にはいる。周囲の強靱な神経叢をハサミで切断して視野を作る。神経叢の断面を見ると、神経色(白)ではなく神経節色(灰色)をしている部分がかなりあるはずだ。腹腔神経節=太陽神経節である。胸部の後縦隔が終えていれば、内臓神経(5.4.2,6.4.2)を腹腔神経節につなげる。迷走神経腹腔枝が残っていれば、それが副交感神経入力である。腹腔動脈根部に接して下横隔動脈を剖出する(図345)。副腎や胃C領域の栄養動脈でもある。腹腔動脈根部と上腸間膜動脈を合せた分岐型については、京都帝大の足立による広範な研究がある。SMAから来る肝動脈があったら報告してほしい。その際の膵の血管について調べている医師がいる。
Celiac trunk(Celiac axis) | 腹腔動脈 | Truncus celiacus |
Left gastric artery | 左胃動脈 | Arteria gastrica sinistra |
Common hepatic artery | 総肝動脈 | |
Splenic artery | 脾動脈 | |
Splanchnic nerve | 内臓神経 | |
Inferior phrenic artery | 下横隔動脈 |
右半結腸の血管を剖出する。疾患の多い回盲部に特に注意する。結腸ヒモ(図341)と虫垂間膜(図339)を確認する。結腸の後方で、腎周囲の腎筋膜と脂肪被膜はまだ除去しない。尿管や精巣(卵巣)動脈も 腎筋膜の深側に温存されているはずだ。消化管とは層が異なることを認識する。大動脈に張りつく自律神経叢は、胃癌No.16のリンパ節と共に剖出しながら温存する。大動脈をむき出しにしてはいけない。
Ileocecal junction | 回盲部 |
Taenia | 結腸ヒモ |
Mesoappendix | 虫垂間膜 |
■付図(腹腔動脈と上腸間膜動脈を合せた分岐型)
最後に以下の動脈の同定をもう一度行い、復習とする。
Inferior phrenic artery | 下横隔動脈 | |
Celiac trunk(Celiac axis) | 腹腔動脈 | Truncus celiacus |
Splenic artery/vein | 脾動脈/静脈 | A./Vena lienalis |
Short gastric a. | 短胃動脈 | |
Posterior gastric a. | 後胃動脈 | |
Left gastroepiploic a. | 左胃大網動脈 | |
*Inf./Dorsal pancreatic a. | 下/後膵動脈 | |
*Arteria pancreatica magna | 大膵動脈 | |
Left gastric artery | 左胃動脈 | A. gastrica sinistra |
Common hepatic artery | 総肝動脈 | |
Right gastric artery | 右胃動脈 | |
Proper hepatic artery | (固有)肝動脈 | |
Cystic artery | 胆嚢動脈 | |
Gastroduodenal artery | 胃十二指腸動脈 | |
Right gastroepiploic a. | 右胃大網動脈 | |
Ant. superior | 前上膵十二指腸動脈 | |
pancreaticoduodenal a. | | |
Post. sup. - - | 後上膵十二指腸動脈 | |
Sup. mesenteric a. (SMA) | 上腸間膜動脈 | A. mesenterica sup. |
Ant. inf. - - | 前下膵十二指腸動脈 | |
Post. inf. - - | 後下膵十二指腸動脈 | |
Ileal/Jejunal arteries | 回腸/空腸動脈 | |
Ileocolic artery | 回結腸動脈 | |
Appendicular artery | 虫垂動脈 | |
Middle/Right colic a. | 中/右結腸動脈 | A.colica med./dext. |
Inf. mesenteric a. (IMA) | 下腸間膜動脈 | A. mesenterica inf. |
Sigmoid artery | S状結腸動脈 | |
Left colic a. | 左結腸動脈 | |
Sup. rectal artery | 上直腸動脈 | |
6.3.2 消化管の内景
(図295,296,304,316--324,335,341,370--373)
消化管は摘出しないで、原位置で切開を加える。
胃の名称について復習せよ(6.3.1)。胃を大弯に沿って噴門から幽門まで切開する(図295)。胃を腹部から切除してはいけない。中がよごれていれば、スポンジや布で拭き取る。粘膜面のヒダを造影写真(MDL:図xxx)と比較して観察する。大弯に沿って粗大なヒダfold, Falteが縦走する。胃の3部における粘膜ヒダの違いをよく頭に入れる。胃小窩は分かりにくいかも知れない。粘膜をできるだけ剥がして胃の筋層3層を確認する。C領域を中心に行う。幽門括約筋は明瞭だが、噴門はどうだろうか。斜走筋が噴門に集まることが確認できるライヘがあれば報告する。胃と食道を切り離してはいけない。噴門は逆流しやすい部位だが、胃内圧が高いことを応用して手術で治すのは比較的やさしい(食道アカラシアの手術)。どこをどうしたらいいと思うか。
Cardiac orifice | 噴門 |
Cardia | 噴門部 |
Body | 胃体(部) |
Pylorus | 幽門 |
(pyloric)Antrum | 幽門洞(しばしば幽門部と同義) |
Pyloric sphincter muscle | 幽門括約筋 |
十二指腸ではループの外まわりから切開を入れて、典型的な輪状ヒダを観察する。絨毛はこのヒダの辺縁に並ぶ。膵頭部を前面から必要最小限で崩しながら、総胆管、膵管(ウィルズング管)、副膵管(サントリーニ管)を剖出する(図318)。サカナの骨のように膵管枝が配列する。剖出した総胆管と膵管が開口するファーター乳頭({大十二指腸乳頭)を確認する。中にオッデイ括約筋がある。胆膵管合流異常が認められたら報告する(図318--324)。合流異常の型によっては高率に胆管癌を発症する。副膵管は小十二指腸乳頭に開口したか。膵頭部の膵管の枝分れには変異が多い。膵の発生と膵管、副膵管の位置関係はラングマン p.232-233 参照。なお、十二指腸球部は十二指腸上部の胃側大部分を指す。生体では十二指腸球部の右下縁に、鋭い上十二指腸角(SDA)がある(内視鏡ビデオ参照)。
Duodenum | 十二指腸 |
Superior part(portion) | 第1部(上部) |
Descending part(portion) | 第2部(下行部) |
Horizontal part(portion) | 第3部(水平部) |
Ascending part(portion) | 第4部(上行部) |
Circular fold | 輪状ヒダ |
Common bile duct | 総胆管 |
(Main)Pancreatic duct | 膵管(ウィルズング管 Wirsung's) |
Accessory pancreatic duct | 副膵管(サントリーニ管 Santorini's) |
Greater duodenal papilla | 大十二指腸乳頭(ファーター乳頭 Vater's) |
Lesser duodenal papilla | 小十二指腸乳頭 |
Sphincter at duodenal papilla | オッディ括約筋(Oddi's) |
回腸内面で、米粒様の集合リンパ小節(パイエル板 Peyer's)が見つかったら報告する。切開した腸間膜付着対側に多いという。高齢者では、退縮して不明瞭。
回盲部の内腔を観察するため、血管のない側つまり自由ヒモから盲腸とterminal ileum、Ileumende(回腸末端を指す慣用名)を切開して、バウヒン弁(回盲弁)と虫垂口を確認する(図335)。横行結腸で3本の結腸ヒモ、結腸膨起、結腸膨起と結腸膨起の間の半月ヒダを確認する(図341)。アッペ(虫切)天国日本の虫垂切除痕とまれな先天性虫垂欠損をマクロで鑑別するのは案外むずかしい。
Cecum | 盲腸 |
Ileocecal valve | 回盲弁(バウヒン弁 Bauchin's) |
Appendix | 虫垂 |
Transverse colon | 横行結腸 |
Taenia | 結腸ヒモ |
Taenia libera | 自由ヒモ |
Taenia mesocolica | 間膜ヒモ |
Taenia omentalis | 大網ヒモ |
Haustra | 結腸膨起 |
Semilunar fold | 半月ヒダ |
ここで腹部断面のイメージができるかどうか、友人を透視しながら繰返し頭の中で再現する。そのためには、第1腰椎体の高さ、第2腰椎体の高さと決めて、集中的に同一平面を剖出・観察する必要がある(図370,371,372,373)。最初から教科書の図を覚えても短期記憶にしかならず、また応用が効かない。
ビデオで『胃上部早期癌の手術』を供覧する。次のような手順で作業が進む。
<手術のストーリー>
(腹腔を開放後) (左下から)
↓
左右胃大網動脈にクリップ 膵前筋膜の剥離、膵の露出
↓ ↓
肝十二指腸間膜の開放 横行結腸間膜の剥離
↓ ↓
右胃動脈の結紮,切離 胃大網動脈の切離
↓ ↓
小網切開 大網の切除
↓ ↓
腹部食道の露出,切離 胃幽門部の切離(噴門側3/4を切除)、残胃断端の縫合
↓ ↓
脾を前方へ脱転、短胃動脈の結紮,切離 脾門部から脾動脈根部の郭清
↓ ↓
左胃動脈の結紮,切離 消化管再建
(右上へ)
HR ALIGN=LEFT NOSHADE>
6.3.3 下腸間膜動脈
(図327,331,332,344,365,454)
最初に、岬角前方の大動脈分岐部前面で仙骨前神経(上-下腹神経叢)を見つけ、テーピングして温存する(図344,365)。仙骨前神経から下方に続く下腹神経さらに骨盤神経叢(下-下腹神経叢)の層(シヒト)はすでに多くのライヘでスタッフが剥がしている。
小骨盤腔の腹膜は、腹膜と骨盤内臓の位置関係を失うので安易に剥がしてはいけない。結腸の後方では、腎周囲の腎筋膜と脂肪被膜を温存する。尿管や精巣(卵巣)動脈も腎筋膜の深側に温存されているはずだ。消化管とは層が異なることを認識する。
Inferior mesenteric artery | 下腸間膜動脈 | A.mesenterica inferior |
Promontory | 岬角(仙骨の) | Promontorium |
Presacral nerve | 仙骨前神経 | |
Superior hypogastric plexus | 上-下腹神経叢 | |
Hypogastric nerve | 下腹神経 | |
Pelvic plexus | 骨盤神経叢 | |
Inferior hypogastric plexus | 下-下腹神経叢 | |
Testicular (Spermatic) artery | 精巣動脈 | |
Ovarian artery | 卵巣動脈 | |
左半結腸の血管を剖出する。あまり末梢(腸管側)にこだわらず、下腸間膜動脈(IMA)根部に近い部分から始め、できるだけ早くIMA根部に到達する。上直腸動脈(旧名:上痔動脈)は確実に温存する(図xxx,454)。伴走する静脈を上方に追及すると、次第に動脈から離れて下腸間膜静脈にまとまる。下腸間膜静脈は十二指腸空腸曲の側方に腹膜ヒダを盛り上げ、膵後方に至り、上腸間膜静脈・脾静脈と様々な形で合流して門脈を形成する(6.3.1)。
Celiac trunk(axis)・SMA・IMAの各根部と門脈が明らかになっていることを目標にする。大動脈周囲の神経叢を下方まで完全に剥離・除去すると性機能障害を起こす。AortaとIVCまわりの大動脈周囲リンパ節と腰リンパ本幹もなるべく温存する。
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