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肩関節の固定性と可動性  (Fig.101,102)

回旋筋腱板 rotator cuff   同定する(Fig.102)。これは狭義には、棘上筋 棘下筋小円筋 の停止腱膜のことで、その広がりを上腕骨大結節 に至るまで確認する(Fig.99)。血管・神経をなるべく切らないように注意しながら、これら3筋を完全に肩甲骨から剥離し、内側から腱板を浮かせて上腕骨頭 と腱板の間にピンセットを入れる。小結節  につく肩甲下筋 も同様に確認せよ(Fig.98)。腱板断裂は有名な外傷で、腱板上部に接する滑液包 の軟骨化が五十肩 である。

腱板 と関節包はライヘでは分けがたい。腱板周囲の弱い部位で関節包が破れ、肩関節 が開放される(Fig.101)。腱板大結節  に付着させておく。腱板が上腕骨頭 を固定していたことを確かめる。肩甲下筋の停止腱が関節を下方から支えている。肩甲下筋もしばしば rotator cuff の筋に加える。上腕骨頭に巻きついている上腕二頭筋長頭腱 を開放する(Fig.102)。

Shoulder joint 肩関節 102 Articulatio humeri
Supraspinatus muscle 棘上筋 102
Infraspinatus muscle 棘下筋 102
Teres minor muscle 小円筋 102
Humerus 上腕骨 104
Greater/Lesser tubercle 大/小結節 104,105
Subscapularis muscle 肩甲下筋 46,98
Tendon of
biceps muscle (long head) 上腕二頭筋長頭腱 101

<肩関節を動かす筋の作用別整理>  p.gifの図を参照

外転 三角筋、棘上筋、上腕二頭筋長頭
(挙上) (外転の筋に加えて)前鋸筋、僧帽筋の上部
内転 大胸筋、上腕三頭筋長頭、大円筋、広背筋、上腕二頭筋短頭
前傾 三角筋鎖骨部、上腕二頭筋、大胸筋鎖骨部・胸肋部、烏口腕筋
後傾 大円筋、広背筋、上腕三頭筋長頭、三角筋肩甲棘部
外旋 棘下筋、小円筋、三角筋肩甲棘部
内旋 肩甲下筋、大胸筋、上腕二頭筋長頭、三角筋鎖骨部
(描円、ぶんまわし) 多くの筋が協力して作用する。自分の体を動かして確認せよ。


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Akiko Oshiro
1998年01月19日 (月) 16時56分03秒 JST