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後腹壁  (Fig.360,366,367)

腹部内臓の解剖(p.gif)を終えてから行なう。

大腰筋 の輪郭を確認した後(Fig.360)、筋束を脊柱から剥がしながら腰神経叢 を剖出する(Fig.364-367)。 すでに下肢では大腿神経 外側大腿皮神経 が剖出されている。これらを近位に追及していく(Fig.367)。大腰筋が腸骨筋 と合流して大腿骨小転子  に停止することを確認する(Fig.360)。大腰筋は脊柱に近接しており脊柱 を動かすが、停止部位と神経支配から下肢帯の筋に分類される。腰神経叢では、上記2神経の他に閉鎖神経 腰仙骨神経幹 を確実に剖出する。腰動脈 腹大動脈から分節的に出ている。作業中に腰動脈を温存するように注意し、第10肋間動脈 から第2腰動脈の範囲で椎間孔 に入る太い動脈枝がないかどうか丁寧に剖出する。2外の医師が検索していると思う。脊髄まで到達していればアダムキービッツ動脈   の可能性が高い(Fig.683では第10肋間動脈由来)。水平断の絵は「解剖学講義」p.665 参照。

腎臓の後方で腰方形筋 とその肋骨付着を確認する(Fig.360,365)。背部の剖出で大量の脂肪が付いていたウエストのくびれの位置に当たる。腰方形筋はその支配神経の位置から見て胸壁の外肋間筋に相当すると考えられている。

Psoas major muscle 大腰筋 360
Lumbar plexus 腰神経叢 366
Femoral nerve 大腿神経 498
Lateral femoral cutaneous nerve 外側大腿皮神経 489
Iliacus muscle 腸骨筋 360
Lesser trochanter 大腿骨小転子 560
Obturator nerve 閉鎖神経 367
Lumbosacral sympathetic trunk 腰仙骨神経幹 365
Lumbar artery 腰動脈 364
Abdominal aorta 腹大動脈 364
Adamkiewicz artery アダムキービッツ動脈 683
*Quadratus lumborum muscle *腰方形筋 362

腰仙骨神経叢(L1-S4)  は整形外科や神経内科で下肢の障害を考える上で主要だが、解剖実習の進行上、全体を通してみる機会がない。ここでFig.366を参考に整理しておく。腰神経叢 部分では前方から閉鎖神経 、後方から大腿神経 が出る。細いが交感神経性の腰内臓神経 QOL の確保に必須だ。大腿神経の皮枝は下腿に達する。仙骨神経叢 部分では坐骨神経 が圧倒的に太く、前方の脛骨神経 部分と後方の総腓骨神経 部分に分けられる。他に、後方から殿筋神経、前下方から陰部神経 が出る。細いが副交感性の骨盤内臓神経 QOL の確保に必須だ。          

Lumbosacral plexus 腰仙骨神経叢 366,367
Lumbar plexus 腰神経叢 366
Obuturator nerve 閉鎖神経 366,367
Femoral nerve 大腿神経 366,367
Lat.femoral cutan. nerve 外側大腿皮神経 366,367
Lumbar splanchnic nerve 腰内臓神経 328
Lumbosacral trunk 腰仙骨神経幹 367
Sacral plexus 仙骨神経叢 366
Sciatic nerve 坐骨神経 366
Tibial nerve 脛骨神経 366
Common fibular(peroneal) nerve 総腓骨神経 366
Sup./Inf. gluteal nerve 上/下殿神経 366
Pudendal nerve 陰部神経 366
Post. femoral cutan. nerve 後大腿皮神経 366
Pelvic splanchnic nerve 骨盤内臓神経 456


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Akiko Oshiro
1998年01月19日 (月) 16時56分03秒 JST