肺根 の後方に指を入れて肺根をつかんでみる(Fig.171)。さらに肺間膜 をつかんで確認する。縦隔に面する壁側胸膜を除去しながら肺に向かって肺根を剖出していく。この際にできれば肺間膜を温存する。肺間膜は、通常は腸間膜とは異なり(相同ではない)血管を含まず後縦隔左右の連絡リンパ路になると考えられている。
右迷走神経 を頚部から下方に追及して反回神経分岐 を確認し(Fig.236)、さらに右肺根後方に至る。以上の過程で上大静脈後方の右気管傍リンパ節 が除去されていく。太い気管支縦隔リンパ本幹 が見つかるかもしれない。左迷走神経を大動脈弓 の下縁から左肺根後方まで剖出する(Fig.189)。左は特に視野が狭くてやりにくいかも知れない。肺 を外側に寄せながら作業する。最後に、肺根と肺間膜を切って左右の肺を摘出する。肺根はできるだけ長く3cm程度を肺側に付ける。肺根の後方に密着する迷走神経は本体側に残す。
Root of the lung | 肺根 | 171 | Radix pulmonis | |
Pulmonary ligament | 肺間膜 | 176 | ||
Vagus nerve | 迷走神経 | 189 | ||
Right/Left recurrent laryngeal nerve | 右/左反回神経 | 189 | ||
Paratracheal lymph node | 気管傍リンパ節 | 193 | ||
Bronchomediastinal lymphatic trunk | 気管支縦隔リンパ本幹 | 235 | ||
Aortic arch | 大動脈弓 | 189 |
心臓 と肺を、摘出しないで胸腔に付けたまま剖出したい班があれば申し出て欲しい。時間は倍以上かかるが、位置関係を温存したという実感がある。また、血管・神経を連続的に観察できる。せめて心肺一括で摘出したいという希望があれば同様に別途指示する。