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[db-100] SC3 : 器官や組織の微小循環は血管単位(angion)の集合体である



##Begin
#Z SC3
#A 器官や組織の微小循環は血管単位(angion)の集合体である
#B The Microcirculation in the organs and tissues is an agglomeration of vascular units or angions.
#E1 時岡/孝夫
#F1 ときおか/たかお
#G1 Tokioka/Takao
#J1 明海大学歯学部口腔解剖学第二講座
#K1 メイカイダイガクシガクブ コウクウカイボウガクダイニコウザ
#L1 Meikai Univ. Dent. Sch. 2nd Dept. of Oral Anat.
#D 各組織内で全てが連続しているような毛細血管でも多くの単位が集まって構成されてい
ることを1961年(第五回国際微小循環学会,U.S.A.)以来述べてきた。研究方法は墨汁・赤
色アクリル樹脂二重注入法によりセロイジン包埋後、100〜400μmの厚切り切片をバルサム
封入し、光学顕微鏡で観察を行ってきた。本法は最初全血管に墨汁を注入し、直ちに赤色
アクリル樹脂を同一 cannula から注入する方法で、注入方向が生理学的であり、且つ墨汁
は水性であり赤色アクリル樹脂は油性であるため混合することなく、赤い動脈系と黒い静
脈系に区別することができる。毛細血管内の赤さの部分は赤色アクリル樹脂の注入量によっ
て決まり、注入量は注入部位の血管の血流量あるいは時間の parameter とも考えられる。
また赤色アクリル樹脂から墨汁への接点は血流の方向を表している。
 所見と考察:中枢神経系を除き、一般には太い動脈と静脈は伴行し、両者は伴行しつつ
分岐と吻合を行い、細動脈と細静脈となり、ある末梢地点に達した細動脈枝は毛細血管前
細動脈となり、静脈系から独立し動脈側毛細血管となる。この動脈側毛細血管は静脈側毛
細血管に移行し、毛細血管後細静脈を経て細静脈となり、細静脈になれば、再び細動脈と
伴行するようになる。毛細血管をみると全ては連続しているように見受けられるが、しか
し1本の毛細血管前細動脈から動脈側毛細血管と静脈側毛細血管を経て複数の毛細血管後
細静脈に至る血管の1単位が考えられる。このような形態は中枢神経系でも同様であり、
この末梢地点が軟膜中にあり、細動脈に代わって動脈枝という違いがある。1単位の形や
大きさは組織によって異なって;腱膜、硬膜、腸間膜、真皮、粘膜、網膜のように平面的
な組織では網目状単位・胃、腸の粘膜のように平面的で厚みのある組織では層状単位・脳
皮質のように厚みのある組織では円錐状単位・骨格筋、末梢神経など長い組織では円柱状
単位・脂肪組織や腺組織などでは多面体単位がみられる。血管系に関する単位構造は肝
臓の小葉(Rappaport '54)があるが、これは組織構造が単位構造であるためである。筋組
織(Hammersen '68 ,Stingl '69)でもいわれているが、形態からのみ考えられたもので1動
脈系と隣接する1静脈系を1単位とした。本研究の形態から機能を考えた1単位は1動脈
系と両側に隣接する静脈系で構成され、1静脈系は両側の2単位を受け入れている。
 結論:器官や組織における微小循環は多数の単位で構成され、その形態、大きさと配列
はそれぞれ器官や組織によって特徴を持っていた。ここに血管の単位として Angion という
言葉を提唱したい。
 発展性:血流の調整について単位の入口までは神経によって extravascular control が
なされ、以後は intravascular control と考えられる。
#M 微小循環, 血管, 血管単位,. 注入法
#N microcirculation, blood vessel, vascular unit, angion, injection method
#Last_modified 97.04.04-20:41
#Return_path tokioka3@blue.ocn.ne.jp
#Sequence_number   100
##End

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