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2001年3月30日更新


がんに対する遺伝子治療のベクター開発  2001年3月30日

札幌医科大学 分子医学研究部門 濱田洋文(はまだひろふみ)

 

キーワード 遺伝子治療 ウイルスベクター 標的化

 

要旨:

 がんの遺伝子治療を考える場合に最も大切になってくるのが、がんの標的化、すなわち腫瘍細胞だけを周囲の正常細胞とどうやって区別するかという課題である。腫瘍の標的化を達成する遺伝子治療として: 組織特異的なプロモーター、腫瘍に特異的なアポトーシスのメカニズム、腫瘍に特異的な抗原を標的とする免疫療法、腫瘍だけに感染するようなウイルスベクター、腫瘍でだけ特異的に増殖するようなウイルスベクター、などのストラテジーについて概観する。

 

はじめに

遺伝子治療の臨床研究が欧米を中心として活発に試みられてきた。現時点ではすでに500以上のプロトコールが登録されている。中でもがんに対する遺伝子治療のプロトコールは多く、最も積極的に研究されている標的疾患である。わが国でもいくつかの臨床研究がスタートし、その結果が注目されている。ここでは、私たちが取り組んでいる腫瘍の標的化のためのベクター開発の試みを紹介し、さらに遺伝子治療を巡るいくつかの重要な課題を論じてみたい。

 

腫瘍の標的化を目指した遺伝子治療法の開発:

 がんの遺伝子治療を考える場合に最も大切になってくるのが、がんの標的化、すなわち腫瘍細胞だけを周囲の正常細胞とどうやって区別するかという課題である(1,2)。たとえばアポトーシスの機序でがん細胞を殺す治療法を考える。たとえば、私たちの実験結果によると、caspase-8の遺伝子を高発現させると(3)放射線などとの併用で非常に効果的に腫瘍細胞を殺すことができる。P53遺伝子導入によるアポトーシス誘導(4?6)と同様に、少なくとも in vitro では、例外なくどんな腫瘍細胞でも殺すことができる(3)。ところが、多くのアポトーシスの機序は腫瘍細胞と正常細胞とで同じである。単純にアポトーシス誘導遺伝子を導入するだけでは、がんを殺すこともできるが、正常細胞も死んでしまい、充分な治療成果を得ることはできない。そこで、腫瘍特異的な遺伝子発現のできる「標的化攻撃ベクター」を開発する必要がある。腫瘍の標的化を達成する遺伝子治療としては、以下に示すようないくつかのストラテジーが考えられる。

1)       組織特異的なプロモーターを用いて自殺遺伝子などをドライブする。

2)       腫瘍に特異的なアポトーシスのメカニズムを利用する。

3)       腫瘍に特異的な抗原を標的とする免疫療法。

4)       腫瘍の表面に存在する特異的な標的を用いて腫瘍だけに感染するようなウイルスベクターを用いる。

5)       腫瘍でだけ特異的に増殖するようなウイルスベクターを用いる。

それぞれについて、以下に簡単に紹介し、現状を問題点をディスカッションしてみたい。

 

腫瘍特異的なプロモーターの利用:

組織特異的プロモーターのうちで最もよく研究されているのは、肝細胞癌などで発現するアルファフェトプロテイン(AFP)のプロモーターの利用である。カナダの玉置らによってプロモーターの詳細な解析が進んでおり、AFP産生している細胞に限局した発現パターンを示すプロモーター遺伝子断片を入手することが可能である。ただし、遺伝子治療臨床研究によく用いられているCMVプロモーターなどに比べると、発現強度が数十分の1と弱いのが欠点である。この問題に対しては、少量の遺伝子産物の発現で、充分な治療効果を示すような遺伝子をドライブさせれば解決される。たとえば、単純ヘルペスウイルスのチミジンキナーゼ(HSV-TK)遺伝子(7)などを用いると良い。本質的な問題となるのは、適応疾患の肝細胞癌が、肝硬変をバックグラウンドに持つ肝臓から発生してくるケースがほとんどであることである。硬変肝では、残った正常肝細胞は、余力に乏しい肝機能を代償するために活発に分裂するサイクルにあると思われる。通常、このような正常肝細胞では、AFPの発現も高い。従って、AFPプロモーターを使った遺伝子治療では、正常肝細胞もかなりダメージを受けることを避けられない。健康な肝臓であれば、かなりのダメージにも充分に代償できる余力があるが、硬変肝では余力が残されておらず、わずかなダメージがそのまま肝不全へと進展してしまう。このような危険が予測されるため、AFPプロモーターを用いた遺伝子治療研究は、動物モデルを用いた基礎検討に止まっている。臨床研究にもってゆくためには、硬変肝をバックに持たない特殊な病態の患者を選ぶ必要がある。あるいは、肝癌と正常肝細胞とを見分けるもう一つの工夫と組み合わせることも考えられる。たとえば、AFPプロモーターを利用して、p53に異常を持つ増殖細胞、すなわち肝癌細胞だけで増えるようなアデノウイルスの開発が試みられている。

AFPプロモーター以外にもいくつかの腫瘍特異的プロモーターの遺伝子断片を用いた遺伝子治療の基礎実験が報告されているが、多くのプロモーターでは発現の程度が弱く、しかも通常ではそのプロモーターが発現しないはずの細胞でも多少の発現(リーク)が見られる。すなわち、弱いプロモーターの割にはリークが大きくて特異性に欠ける。これらのプロモーターに関しては、エンハンサーやサプレッサーの領域に関する詳細な基礎検討を行い、リークの少ない強力なプロモーター断片を作製していく必要がある。このように実用化にはほど遠い現状ではあるが、ここ数年来、ゲノムプロジェクトの進展を背景として、欧米の製薬会社やベンチャー企業を中心に新しい治療用のプロモーターの探索研究と実用化が強力に進められており、近い将来には多くの材料が提供され、非常に有望な手段となることが予測される。

 

 

腫瘍特異的なアポトーシスの誘導:

腫瘍に特異的なアポトーシスのメカニズムは存在するのであろうか。残念ながら、多くの腫瘍では、特異的なアポトーシスのメカニズムで効果的に細胞死を誘導する系は報告されていない。しかし、用いるアポトーシス誘導遺伝子をできるだけその腫瘍に特異的な遺伝子異常(p53、ras、erbB2、bcr-ablなど)を標的としたものにすることによって、いくつかの腫瘍では特異的な細胞死を誘導できることが示され、これまた非常に有力な研究分野となっている。たとえば、膵癌では、rasの活性化変異が高率に見いだされる。そのような膵癌細胞に対して、アンチセンスオリゴヌクレオチドやリボザイムないしDNAエンザイムなど(8)でrasの発現をブロックすると効果的なアポトーシスを誘導することが可能である。また、慢性骨髄性白血病では、bcr-abl融合タンパクが発現するため、これが特異的な標的となる。このbcr-abl融合タンパクのチロシンキナーゼ活性のみを特異的に抑える化合物がスクリーニングで見つかり、欧米では現在臨床治験が進んでいる。非常に有望な途中経過が報告されており、実用化も近いことと思われる。これなどは、正常細胞に対する毒性の少ない、理想に近い抗腫瘍活性薬になることが期待される。

一方で、正常細胞と腫瘍細胞とでほとんど違いのないアポトーシスのメカニズムも多い。たとえば、Fas-Fasリガンド系によるアポトーシスは、腫瘍細胞に対してアポトーシス誘導能は非常に強力ではあるが、同時に肝臓やリンパ球などの正常細胞に対する作用も強力であり、治療に用いることが難しい。さらに都合の悪いことには、腫瘍細胞ではFas-Fasリガンド系によるアポトーシスに対してきわめて容易に耐性を獲得することもわかった(9)。TNFによるアポトーシス誘導もほとんどの腫瘍細胞では耐性を獲得しており(10,11)、TNF単独投与では治療に応用することがむずかしい。

 

腫瘍特異的な免疫療法(12,13):

 東大医科研の谷ら(14)は、GM-CSF遺伝子導入腫瘍細胞を用いた免疫強化ワクチン療法を試みている。遺伝子導入は、培養して増やした細胞にレトロウイルスで遺伝し導入を行う、いわゆるex vivo 遺伝子導入法を用いている。欧米ではメラノーマに適用されてかなり有望な結果が得られているが、日本ではメラノーマの患者が少ないこともあって、進行した腎癌を対象として遺伝子治療臨床研究が試みられている(14)。日本での遺伝子治療臨床研究の場合、腎癌の場合でも症例数は余り多くは集まってこないのが現状であり、結果の評価を終えるまでにはかなりの時間を必要とする。Ex vivo 法の利点としては、遺伝子導入の効率を高くコントロールできること、安全性のチェックも患者へのワクチン投与前に充分に行えることなどが挙げられる。一方で、細胞培養に多くの時間と労力を要すること、長い培養期間中にコンタミネーションなどの危険が伴うこと、安全性のチェックにも多くの時間、労力、費用を伴うこと、などが困難な課題である。このような細胞ワクチン療法の困難を克服するため、同種(アロ)の腫瘍細胞を用いたワクチン療法、ペプチド抗原を用いたワクチン療法などのレディメイド型の免疫療法も盛んに試みられている。また、宿主の免疫反応の要となる抗原提示をになうマクロファージや樹状細胞(dendritic cell)を用いて、これに特異抗原を載せる細胞ワクチン療法(15?17)も有力である。抗原をパルスする方法としては、DNA遺伝子導入法以外にも、ペプチドを外から加えたり(15)、RNAをパルスしたり(16)と、かなり幅広い選択肢がある。また同時にサイトカイン遺伝子導入することも有効である(17)。

遺伝子導入細胞による抗腫瘍ワクチン療法は、宿主の本来備えている免疫力を利用して腫瘍を治療しようとするものである。従って、腫瘍細胞に対する遺伝子導入の効率が多少低くても、宿主の特異的な免疫力を増強させるに充分なだけの遺伝子発現が達成できればよい。遺伝子導入のされていない細胞に対する効果を期待するという意味で、広義のバイスタンダー効果をねらった治療法といえる。このような免疫療法の難点としては、腫瘍免疫の基礎研究が未だ発展途上にあるため、臨床研究の成果が確実には予測できないことが第一に挙げられよう。臨床をよく反映した動物実験モデルが得られないことも多く、最終的にヒトでの遺伝子治療臨床研究を行ってみるまでは、動物実験での結果をヒトに当てはめることができるかどうか予測が付かない。理想的には、あらかじめ効果が確実に期待できる患者を選択して、治療の対象にエントリーすることが望ましいが、現在のわれわれの知識を持ってしては、それは不可能である。あくまで、有望な動物実験の結果が得られたプロトコールに関して、遺伝子治療臨床研究で結果を確認しながら、克服すべき困難を見つけだし、一歩一歩進めてゆくというタイプの研究になる。遺伝子治療臨床研究の場合には、プロトコールの妥当性に関して、研究機関内部さらに国(厚生労働省と文部科学省)の審査委員会での審査に要する時間もかなり長い。また、一人一人の患者の効果判定にもある程度長い観察期間が必要となる。その結果必然的に、研究の進展サイクルは長い年月を要するものとなる。免疫遺伝子治療が、がんの根治的治療法として大いに期待されているにも関わらず、なかなか進展しないという印象を与えているのにはこのような事情がある。短兵急な結果を要求するのではなく、長いスパンで研究の発展を見守り支援する必要がある。

 

腫瘍に特異的に感染するベクターの開発:

腫瘍だけを見つけて、追っかけて感染するようなウイルスベクターを作ることができれば、標的化が達成できる。わたしたちは、アデノウイルスのキャプシド外被タンパクに変異を導入して、腫瘍への遺伝子導入効率の増強、特異性の増強を目指してきた(18、19)。アデノウイルスの場合、キャプシドタンパクの中でもファイバータンパクが、細胞との吸着を担っている。そこで、ファイバーの先端のノブと呼ばれる領域にペプチド配列を余分に入れてやることにより、ウイルスベクターの宿主特異性を改変することが可能である(7,19)。

 

 

腫瘍だけで増殖するウイルスベクターの開発:

 ウィルスの増殖のメカニズムは、それぞれ未だ充分に解明されているわけではないが、細胞の増殖、セルサイクル(細胞周期)の調整に関わるタンパク群と相互作用して、ホストの細胞機能を巧みに改変して、ウィルスが利己的に増殖することが示唆されている。すなわち、ウィルスはselfish gene の代表格である。この性質をうまく利用できないだろうか。腫瘍細胞では、増殖、セルサイクルに関与する遺伝子に異常を生じていることが多く、しかも腫瘍の発生と深く結びついている。腫瘍細胞でだけ異常を生じている部分と相互作用するウィルスの増殖のシステムを利用すれば、腫瘍でだけ増殖して正常細胞では増殖することのできない「制限増殖型」のウィルスを開発することが可能なはずである(20?23)。このようなストラテジーでE1AとE1B55K欠損ウィルスOnyx015 が頭頚部腫瘍の治療に用いられ有望な途中経過が報道されている。今後、効果、安全性など多くの検討を必要とするが、ウイルスベクターの開発の中でも将来性が一番期待できるストラテジーの一つであろう(20,21)。

 

 

アデノウイルスベクターの予期せぬ副作用:

遺伝子治療の現況の中で、必ず取り上げなければならない話題が、ベクターの副作用の問題である。がんに対する遺伝子治療のベクターとして最も期待されていたのがアデノウイルスベクターであった。ところが1999年の秋に、ペンシルバニア大学のWilsonらのグループによる先天性代謝疾患の遺伝子治療の臨床研究の経過中、大量のアデノウイルスの全身投与によって一人の男性患者が急性の心肺肝不全によって死亡するという事故が起こった。アデノウイルスによる急性心肺肝不全の細胞・分子レベルでの病因は今のところ明らかではない。記載された症状は一見アナフィラキシー症状のように見えるが、1x1013個以上の大量のアデノウイルスを全身投与した患者の一部のみに起こってくることから、少量の抗原でも引き起こされる免疫学的過敏(アナフィラキシー反応とは病態が異なっている。同程度(1x1013個以上の大量)のアデノウイルスを頭頸部がんなどの局所に投与した場合には、特に重篤な副作用は生じなかったことが報告されている。動脈ないし静脈経路による全身投与に限って、上に述べたような重篤な副作用が生じるものと考えられる。これだけ多くのウイルスが全身の循環の中に入り込むということは、人類の進化の過程で未だかつてなかったことであり、このような臨床経験を通じてしか得られない、予期できない知見であろう。詳しい病態メカニズムの解明が何よりも重要である。

 

遺伝子治療臨床研究の倫理面での課題:

最後に、遺伝子治療の臨床研究を行う倫理面、研究者の側の問題点を取り上げてみたい。ペンシルバニア大での上記死亡例はアメリカで大きな社会的問題となった。当時アメリカでは遺伝子治療の臨床研究の審査手順をできるだけ簡略化して迅速に進められるようにしようという方向にあった。ところが、この死亡例をきっかけとして、アメリカ国内の遺伝子治療の臨床研究全般に関する調査、見直しが進められ、その過程で研究者サイドの問題点も浮かび上がってきた。遺伝子治療の危険性そのものに関する科学的な論議というよりもむしろ、臨床研究の実施状況がプロトコールに完全に忠実ではなかったことが大きな問題とされた。同様の問題は、閉塞性動脈硬化症の遺伝子治療を進めていたタフツ大学のIsnerらのグループにも指摘され、ペンシルバニア大のWilsonらに特殊な問題ではないことも明かとなった。

一般論としては、特に重篤な副作用が見られた場合のFDAへの届け出義務に関して、FDAに届けられた情報をどこまで迅速に一般に公開する必要があるかという点を含めて論議された。今年(2001年)のはじめには米国NIHの遺伝子治療臨床研究のガイドラインの改正補足案が提案されている。この中では、起こった重篤な副作用と思われる出来事を迅速にすべてFDAに報告することを義務づけようとしている。また、今までは非公開であった副作用のFDAへの報告内容を、原則的に公開しようとしている。このガイドライン改正案に示された情報開示の方向性は、原則的には正しい流れであることは間違いなく、アメリカ遺伝子治療学会も大筋では賛成を表明している。しかし、実施に当たっては多くの問題点を含んでいる。たとえば、副作用の病態メカニズム、治療の詳細との関連性が充分に明確にされないうちに、副作用の事実報告が先行すれば、同じプロトコールにエントリーされている患者ないし潜在的患者に、いたずらに不安を与え、臨床研究の遂行を著しく困難なものにしてしまう可能性がある。臨床治療研究の主体となるベンチャー企業や製薬会社の側から見ると、迅速な副作用情報公開は、一方では断片的情報として市場に伝わり、市場の大きな不安定要因となり得る。これまで、アメリカでのバイオベンチャー企業群は医学研究ひいてはアメリカと世界の経済を力強く牽引してきた。この活力を阻害しないという見地からも、ガイドラインの改正に当たっては、充分なディスカッションが必要となるであろう。

 

 

参考文献

 

1.        濱田洋文  特異的標的化を目指した癌の遺伝子治療法のストラテジーDrug Delivery System  (Review article) 13: 143-149, 1998

 

2.        濱田洋文  大腸癌に対する遺伝子治療のストラテジー 医学のあゆみ 189(3):194-195 (1999.4.17 発行)、1999

 

3.        濱田洋文(分担執筆)ヒトへの核酸・遺伝子導入の方法と注意点   多比良和誠編 遺伝子機能破壊実験法 実験医学 ザ・プロトコールシリーズ 2001 印刷中、羊土社

 

4.        Shinoura, N., Muramatsu, Y., Nishimura, M., Yoshida, Y., Saito, A., Yokoyama, T., Furukawa, T., Horii, H., Hashimoto, M., Asai, A., Kirino, T., and Hamada, H.    Adenovirus-mediated transfer of p33ING with p53 drastically augments apoptosis in gliomas.  Cancer Res. 59(21):5521-5528, 1999.

 

5.        Shinoura, Yoshida, Y., Asai, A., Kirino, T., and Hamada, H. Adenovirus-mediated transfer of p53 and Fas ligand drastically enhances apoptosis in gliomas. Cancer Gene Ther.   7(5): 732-738, 2000.

 

6.        Shinoura, N., Sakurai, S., Asai, A., Kirino, T., and Hamada, H.   Transduction of Apaf-1 or caspase-9 induces apoptosis in A172 cells, which are resistant to p53-mediated apoptosis.   Biochem. Biophys. Res. Commun. 272(3): 667-673, 2000.

 

7.        Shinoura, N., Yoshida, Y., Asai, A., Kirino, T., and Hamada, H.  Adenovirus-mediated transfer of caspase-8 augments cell death in gliomas: Implication for gene therapy.  Hum. Gene Ther 11(8):1123-1137, 2000.

 

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9.        Shinoura, N., Yoshida, Y., Sadata, A., Hanada, K., Yamamoto, S., Kirino, T., Asai, A., and Hamada, H.  Apoptosis by retrovirus- and adenovirus-mediated gene transfer of Fas ligand to glioma cells:  implication for gene therapy.  Human Gene Therapy  9(14) : 1983-1993, 1998.

 

10.    Shinoura N, Yamamoto N, Yoshida Y, Fujita T, Saito N, Asai A, Kirino T, Hamada H.  Adenovirus-mediated gene transduction of IkappaB or IkappaB plus Bax gene drastically enhances tumor necrosis factor (TNF)-induced apoptosis in human gliomas.  Jpn J Cancer Res. 91(1):41-51, 2000. 

 

11.    Shinoura, S., Yamamoto, N., Yoshida, Y., Asai, A., Kirino, T., and Hamada, H.  Adenovirus-mediated transfer of caspase-8 in combination with super-repressor of NF-kB drastically induced apoptosis in gliomas.  Biochem. Biophys. Res. Commun.  271(2): 544-552, 2000.

 

12.    濱田洋文  サイトカイン遺伝子を用いた免疫遺伝子治療  特集 悪性腫瘍に対する免疫学的細胞治療・遺伝子治療の新展開  血液・腫瘍科(科学評論社)38(1):  15-21, 1999

 

13.    濱田洋文  遺伝子導入癌細胞を用いた免疫療法 特集 癌ワクチン療法  Molecular Medicine 35 (9): 1138-1147, 1998

 

14.    Tani K, Nakazaki Y, Hase H, Takahashi K, Azuma M, Ohata J,    Kitamura R, Komine F, Oiwa M, Masunaga A, Maekawa T, Satoh N, Adachi D, Soda Y, Machida U, Endo M, Yamazaki T, Watari K, Tojo A, Yamashita N, Tomikawa S, Eriguchi M, Hamada H, Wakumoto Y, Hanazawa K, Okumura K. Progress reports on immune gene therapy for stage IV renal cell cancer using lethally irradiated granulocyte-macrophage colony-stimulating factor-transduced autologous renal cancer cells.  Cancer Chemother Pharmacol. 46 Suppl:S73-6, 2000.

 

15.    Cao, X., Zhang, W.,He, L., Xie, Z., Ma, S., Tao, Q., Yu, Y., Hamada, H. and Wang, J.  Lymphotactin gene-modified bone marrow dendritic cells act as more potent adjuvants for peptide delivery to induce antitumor immunity.   J. Immunol. 161(11): 6238-6244, 1998.

 

16.    Zhang Weiping, He Long, Yuan Zhenglong, Xie Zhifang, Wang Jianli, Hamada Hirofumi, and Cao Xuetao,   Enhanced therapeutic efficacy of tumor RNA-pulsed dendritic cells after genetic modification with lymphotactin. Hum. Gene Ther. 10 (7): 1151-1161, 1999.

 

17.    Cao X, Zhang W, Wang J, Zhang M, Huang X, Hamada H, Chen W.  Therapy of established tumour with a hybrid cellular vaccine generated by using granulocyte-macrophage colony-stimulating factor genetically modified dendritic cells.  Immunology 97(4):616-625, 1999.

 

18.    濱田洋文  変異型アデノウイルスを用いた癌に対する遺伝子治療  BIOTHERAPY  TODAY(医薬ジャーナル社) 6 (1): 30-38, 1999

 

19.    Yoshida, Y., Sadata, A., Zhang, W., Shinoura, N. and Hamada, H.  Generation of fiber-mutant recombinant adenoviruses for gene therapy of malignant glioma. Human Gene Therapy  9(17) : 2503-2515, 1998.

 

20.    濱田洋文  制限増殖型アデノウイルスによる癌の遺伝子治療 特集 細胞周期と癌治療  Molecular Medicine 36 (10): 1256-1262, 1999

 

21.    濱田洋文(分担執筆)制限増殖アデノウイルスベクター:癌の遺伝子治療への応用  pp61-74 谷憲三朗・浅野茂隆編 遺伝子治療の新展開 2001、羊土社

 

22.    Motoi, F., Sunamura, M., Ding, L., Duda, DG., Yoshida, Y., Zhang, W-P., Matsuno, S., and Hamada, H. Effective gene therapy for pancreatic cancer by cytokines mediated by restricted replication-competent adenovirus.  Human Gene Ther. 11(2): 223-235, 2000.

 

23.    Shinoura, N., Yoshida, Y., Tsunoda, R., Ohashi, M., Zhang, W., Asai, A., Kirino, T., and Hamada, H.  Highly augmented cytopathic effect of a fiber-mutant E1B-defective adenovirus for gene therapy of glioma.  Cancer Res. 59(14):3411-3416, 1999.

 

 

 

 

一口メモ

 

がんの多様性: 標的化を目指して、有効な治療法を開発してゆくと、さらに問題になってくるのが、腫瘍の多様性(heterogeneity)であろう。腫瘍を標的化すればどうしても標的化から免れる耐性細胞を選んでしまう結果になりやすい。さらにこれに対して上手に対処することが、根治を目指した治療法の開発の骨子になってゆくことであろう。標的化のストラテジーを2種類以上組み合わせれば、同時に2種の標的化から逃れる腫瘍細胞はきわめてまれであろう。一方で、腫瘍血管などの正常組織由来の細胞を標的とする方法も有力である。正常細胞であれば、多様性の獲得はほとんど考えられない。したがって、耐性の獲得はないものと期待される。


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