札幌医科大学医学部

分子医学研究部門
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2001年3月13日付の分子医学研究部門 研究室紹介

 

分子医学研究部門とは? 当研究部門は、平成11年5月、学内の共同利用研究施設「教育研究機器センター」の一部門としてスタートしました。札幌医科大学の大学院専攻科を担当する研究部門です。癌を初めとする難病に対する新しい治療法の開発を中心テーマとしています。難病の治療法の開発で、基礎と臨床の橋渡しを目指しています。遺伝子治療、再生医療などの先端的研究を進めることを通じて、大学院の教育研究活動の充実化を図っていきたいと考えております。

 研究のながれは? 当研究部門では、癌をはじめとした難病の本質的な治療法の開発に取り組み、遺伝子治療法開発の大きな流れを形成してゆけるような研究室造りをめざしています。研究の流れは以下のようになります:

1) 細胞や組織の培養・移植法や分化誘導法の基盤技術、あるいは、細胞への遺伝子導入・発現のための基盤技術の基礎研究。

2) それを用いて、難治疾患の治療のポイントとなる病態の分子細胞生物学的な機構を理解。

3) ヒトの疾患病態をよく反映した実験動物モデルによる遺伝子治療実験を行って仮説を検証。

4) さらに、臨床グループとの共同研究により、難治疾患を実際に治癒させうる分子生物治療の樹立。

5) 臨床研究のインフラを充実したものにしてゆくことにも意欲的に取り組んで行きます。

 進行中の研究プロジェクト: 分子医学研究部門では以下のような研究プロジェクトを進めています。

A 遺伝子治療

1.遺伝子治療のための基盤技術の開発

2.癌に対する遺伝子治療法の開発

(a)抗腫瘍免疫の制御

(b)腫瘍の標的化・特異的細胞傷害

(c)血管新生・浸潤転移の制御

3.難治疾患に対する遺伝子治療法の開発

(a) 腫瘍血管新生・血管病変・炎症反応の制御

(b) 特異的な免疫寛容の誘導

(c) 幹細胞の基礎生物学と遺伝子治療への応用

B 再生医療 (Tissue Engineering)

1.骨髄幹細胞

2.ES細胞からの分化誘導

3.皮膚、骨軟骨

 教育研究機器センター: 分子医学研究部門の主な設備としては、通常の分子生物学的な実験室に加えて、遺伝子治療の基礎実験に用いる各種の組み替えウィルスを作成するP2実験室、非常に注意深い扱いを要する感染実験のためのP3実験室、RI実験室、などを備えております。研究用の機器としては、共焦点レーザー顕微鏡、セルスキャンシステム、各種のイメージ解析装置、FACS解析装置、セルソーター、各種の自動DNAシークエンサー、PCRによるDNA定量装置(タックマン)、各種高速液体クロマトグラフィー、分子間相互作用解析装置(BIACORE)、蛍光発光マルチプレートリーダー、粒子計数分析装置、質量分析機、など最新鋭の機器が整備されています。最新の研究機器を導入した機器センターの運営も私たちの仕事です。

 

分子医学研究部門がスタートしてから、早くも2年が経過しました。スタッフの伊藤克礼先生、佐々木勝則先生、小船雅義先生、それぞれアメリカ留学経験も含め、活発な研究経歴の持ち主です。分子生物学、遺伝子治療、再生医療がキーワードですが、若い研究者たちのこれからの活躍が楽しみです。ラボの整備に関しては、既成のスペースに多くの研究機材を詰め込んで、なおかつ人が活躍する場を作るという難事業でした。この3月に研究室に新しい机やベンチが配置でき、漸く一応のセットアップ完了となりました。スペース的には各種の実験機器でぎっしりで、これ以上の空間的キャパシティーはないという感じです。

 2001年3月には、研究室のホームページ(http://homepage2.nifty.com/hmd3)もオープン致しました。研究の詳しい内容などはこちらを見ていただければ幸いです。できるだけ頻回にアップデートしてゆきたいと思います。

 

濱田洋文

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