札幌医科大学医学部

分子医学研究部門
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2001年5月12日c アスファルトを貫いてスズランの芽が伸びる。

みなさんは宮沢賢治の「貝の火」という童話を読んだことがありますか。おぼれそうになった小鳥を勇敢に助けたホモイ(ウサギの子供です)。貝の火(オパールのような宝石をイメージしてください)を譲り受けたホモイは柔らかいベニスズメの羽毛で毎日磨いて大切にしますが、暮らしの中で次第に誤った方向に進むことになり、貝の火は神秘的な光を濁らせてゆき、最後には弾け飛んでホモイの眼を見えなくしてしまいます。

最初に読んだのはもう20年以上も前のこと。以後、いろいろな時期に思い返しています。物語は完結はしていません。お父さんとホモイはあれからどんな闘いをしてゆくのでしょうか。

そのウサギの子、ホモイがお母さんのお手伝いに集めてくる食材がスズランの実です。童話の中では、スズランの実が、鐘のような音を鳴り響かせます。肌寒くて、さわやかな東北や北海道の5,6月を想像します。

スズラン、札幌市内でも、軒下の路地、街路樹の下、庭先、どこでもいっせいに伸びてきました。もうつぼみを付けたものも多く、花が咲く日も間近です。大通り西18丁目の歩道では、軒下のスズランがアスファルトの割れ目からすいすいと芽吹いているのを見つけました。スズランがアスファルトを破って伸び出せる力を秘めているのでしょうか。それとも雪の歩道で自然できてくる割れ目をたまたま利用できた新芽だけが生き延びたのでしょうか。気候のぴったり合った北海道ではスズランには生命の力強さを感じます。

濱田洋文

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