?1987年、コーニング社と住友電工、光ファイバー(2,500万ドル、33億円; アメリカから撤退)
?伝統的な「文言解釈論」
?「均等論」による拡大解釈。発明していないものまで均等が適用される。均等であるかどうかを判断するのは、出願時点ではなく、原告が特許を侵害されたと主張した時点。
?均等論という特許法の新たな解釈によって、技術大国が特許の利権を拡大し、行使するための制度へ、特許法の役割は大きな質的変貌を遂げた。
<以上、引用終わり>
というわけで、以後、ミノルタハネウエル事件などへと進んでいったわけです。今回の
Festo decision は、どうやら literally のほうに傾いた判決が下ったようです。最高裁で争われることになりそうですが、結果は、われわれバイオの研究者にとっても大いに注目すべきものになりそうです。
Debra Robertson Nature Biotechnology 19, 394 (May 2001) Full Text | PDF の論調はかなり拡大均等論支持寄りに思われます。私は、この論調には批判的です。余りにも均等論が強くなりすぎると、製品化のための重要な開発研究が全く魅力のない、インセンティブに乏しいものになってしまいます。その結果、産業の発展が遅れ、ひいては消費者の利益が大きく損なわれることにつながります。たとえばこういうディスカッションをしてみたらいかがでしょうか−−−「もし、ミノルタがオートフォーカスの開発をあれだけ頑張らなかったとしたら、ハネウエルが代わりにオートフォーカスの一眼レフを作ってわれわれに安価に供給してくれたでしょうか? もし、ミノルタがもともとあれだけアメリカの均等論でうち負かされることを知っていたら、そもそもオートフォーカス一眼レフの開発に踏み切ったでしょうか?」
Debra Robertson Nature Biotechnology 19, 394 (May 2001) Full Text | PDF から一つ引用します。
<以下引用>
This situation is exacerbated by the implementation
in March 2001 of the US Patent and Trademark
Office (PTO; Arlington, VA.) policy to publish
all US patent applications 18 months after
they are filed easing the job of imitators.
"Previously, there was no way to acquire
information to design around a patent filed
in the US," says Swinton. Access by
the imitator to patent specification and
the original claims filed "could be
a great disadvantage to the biotech inventor."
<以上、引用終わり>
これなどは、ずいぶん非常識な話です。アメリカをのぞいて日本もヨーロッパも特許は公開制度があります。いままで、アメリカが一人非公開だったわけです。サブマリーン特許はまさに脅威で、国際的には大きな迷惑でした。日本政府も今までアメリカに公開を要請し続けてきました。ようやく the
implementation in March 2001 of the US Patent
and Trademark Office (PTO; Arlington, VA.)
policy to publish all US patent applications
18 months after they are filed というところに漕ぎ着けたわけで、当然これが世界のルールです。(注: これ以前の出願にさかのぼって適用されるわけではありませんから、サブマリーン特許がなくなったと勘違いしないでください。) easing
the job of imitators とありますが、imitators ではなく、当たり前の同業者というべきでしょう。このようにこの記事はかなりバイアスがかかった書かれ方がしてあります。いつも通りクリティカルな読み方をしてみてください。