2003年5月2日d 骨髄由来の幹細胞の主な起源は細胞融合
濱田洋文
Medvinsky and Smith Fusion brings down
barriers. Nature 422: 823, 2003.
Wang X et al. Cell fusion is the principal
source of bone-marrow-derived hepatocytes.
Nature 422: 897-901, 2003.
Vassilopoulos G. et al. Transplanted bone
marrow regenerates liver by cell fusion.
Nature 422: 901-904, 2003.
マウスで、骨髄由来の幹細胞が損傷を受けた肝臓の修復を行った例では、細胞融合が主体であったことが報告されました。Vassilopoulos
G. et al.らが移植で使っている細胞は、lineage
depletion を施したものですが、必ずしも造血幹細胞
hematopoietic stem cell (HSC) とは限らず、いわゆるmultipotent
adult stem cell (MASC) といえる細胞も含んでいる可能性があります。HSCと
MASCとを厳密に分けて解析すると面白い結果が出るかも知れません。細胞融合の効率がモデルによってどのくらい違うものなのか、うまくコントロールする方法が見つからないか、安全性の面ではどうか? など面白いテーマがありますね。神経の再生などでも細胞融合の可能性が示唆されており、肝臓以外のさまざまの臓器で個別に調べておく必要があります。