脊髄神経後枝 を各分節ごとに長く剖出して、横突起から外側に向けて寝かせる。こうして神経を助けたら、椎弓 と棘突起 に付着する軟部組織をメスで完全に除去する。さらにノミでこすって骨を露出させる。ルンバール の模擬をまだ練習していない者は、最後のチャンスなので以下の作業の前にスパイナル針で実行する(付図 p.)。
最初はノミとリューエルで少しずつ椎弓を削り、1-2個の胸椎で椎弓切除(ラミネクlaminectomy ) を行なう。椎弓間にある黄色靭帯 を少しずつ削り取る(Fig.663)。脊髄 (正確には硬膜) の深さがある程度分かったら、脊椎双鋸という特殊な鋸を用いて一気に作業を進める。脊椎双鋸は高価なので大切に扱うこと。ラミネクは椎間板ヘルニア に対してしばしば行なわれる手術である。双鋸の幅は、棘突起をはさんで遊び部分が左右に各0.5-0.8cm程度にセットする。脊柱 の湾曲(Fig.680)に合せて鋸を引き、音が変ったら後は慎重にノミで割る。大きな棘突起のC2から仙骨後面 まで完全に鋸を入れる。連続して椎弓 がはずれればベストだが、断片的にはずれてもよい 。剖出した脊髄神経後枝 や、まだ見えぬ深部の脊髄神経根 を損傷しないことが第一である。双鋸を入れすぎて神経根を切ると後の楽しみが半減する。
Spinal cord | 脊髄 | 681 | ||
Spinal nerves | 脊髄神経 | |||
Posterior(Dorsal) ramus | 後枝 | 625 | ||
Transverse process | 横突起 | 658 | ||
Vertebral arch | 椎弓 | 627,658 | ||
Spinous process | 棘突起 | 658 | ||
Ligamenta flava | 黄色靭帯 | 663 | ||
Spinous process of axis | C2の棘突起 | 636 | ||
Sacrum | 仙骨 | 677 | ||
Spinal root | 脊髄神経根 | 688 |
ラミネクが終了したら、さらにノミやリューエルを用いて脊柱管 を広く開放し、同時に脊髄神経節 を求める。すでに助けてある脊髄神経後枝 や、肋骨挙筋 の深側で見つけた肋間神経 を内側にたどる。硬膜上腔の内椎骨静脈叢 を観察しながら、脊髄硬膜 に慎重にメスを入れる(Fig.684,690)。視野を確保するため、脊髄硬膜は背側から見て幅2cm程度のベルト状に切除する。クモ膜 に包まれた脊髄 が見えたか。後根の根糸 を確認する。1つのライヘの中で頚部・胸部・腰部と分担して作業を進める。馬尾 は確認できたか。
Vertebral canal | 脊柱管 | 681 ![]() | ||
Spinal ganglion | 脊髄神経節 | 688 | ||
Spinal nerves | 脊髄神経 | |||
Posterior(Dorsal) ramus | 後枝 | 626 | ||
Intercostal nerve | 肋間神経 | 632 | ||
Epidural space | 硬膜上腔 | 688 | ||
Internal vertebral venous plexus | 内椎骨静脈叢 | 689 | ||
Dura mater | 硬膜 | 682 | ||
Arachnoid | クモ膜 | 684 | ||
Dorsal/ventral root of spinal nerve | 後根/前根 | 685 | ||
Cauda equina | 馬尾 | 686 |
脊髄神経後枝に続いて、腕神経叢 ・頚神経叢 を脊髄まで連続させる(Fig.700,703)。この際に神経叢の後方にある筋(主に中・後斜角筋 、そして肩甲挙筋 の起始部)を少しずつ除去する(Fig.707)。本日のハイライトである。
一部でいいから脊髄側方の歯状靭帯 を慎重に除去し、歯状靭帯の前に隠れている前根の根糸 も確認する(Fig.238,684)。最後に脊髄 を指定の高さで切断し、部位ごとの前角 ・後角 の大きさについて断面の計測を行なう(レポート課題参照)。以上の過程で椎間関節 を2-3か所で開放して観察する。脊髄を摘出したら後縦靭帯 を一部で剥がし、脊柱管の前面で椎体から出てくる太い静脈を確認する(Fig.689)。椎間円板 の厚さと硬さをメスで確認する。椎間関節の小さな関節腔を腰部・胸部で各1-2か所開放する。この関節包から腰痛 が発信されているのだろうか。
Brachial plexus | 腕神経叢 | 700 | ||
Cervical plexus | 頚神経叢 | 700 | ||
Middle/Postetior scalene muscle | 中/後斜角筋 | 707,708 | ||
Levator scapulae muscle | 肩甲挙筋 | 630 | ||
*Denticulate ligament | *歯状靭帯 | 684 | ||
Ventral/Dorsal horn | 前角/後角 | 688 ![]() | ||
Facet joint | 椎間関節 | 673,674 | ||
Posterior longitudinal ligament | 後縦靭帯 | 672,689 | ||
Intervertebral disc | 椎間円板 | 673,674 |
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