頬部で耳下腺管 をあらかじめ温存しておく(Fig.856)。耳下腺管に沿って独立した副耳下腺 があるだろうか(Fig.731)。耳下腺 をくずしながら、顔面神経
根部に近い耳下腺神経叢 を剖出する(Fig.736)。耳下腺手術 の際には温存に苦慮する。耳下腺と下顎骨の位置関係に注意して、生体で耳下腺を触診してみる。広頚筋と顎下三角の剖出の際に顔面神経頚枝が見つかっていれば(p.)、これを顔面神経根部までつなぐ(Fig.735)。
顔面筋(表情筋)を剥離しながら顔面神経 の分枝を剖出する(Fig.730)。上顎神経 ・下顎神経 ・頚神経叢 などの末梢と細い交通があるはずだ(Fig.699,736)。こうした交通を介して感覚成分を受けている。ただし、耳介側頭神経 (下顎神経枝)との交通は耳下腺分泌の副交感神経成分 を運ぶ(Fig.730,732)。1か所でも見つけたいところだ。この交通を見つけるためには、耳下腺くずしを丁寧に行なわねばならない。耳介側頭神経は、浅側頭動脈が現段階で同定できればその近傍を走行する枝から下方に追求することができる(Fig.736)。顔面における顔面神経枝については興味があれば詳細に剖出してほしい。耳下腺くずしの最中に温存すべき構造として、神経の他に下顎後静脈 がある(Fig.716,747)。変異に富み知名度は低いが、頭部と頚部を結ぶ静脈路の要をなす。剖出しながら顔面静脈 、外頚静脈、内頚静脈などと連絡させる(Fig.736)。なお、耳下腺は後方までピンセットできれいに除去されているほど、後の解剖がはかどる。
Parotid gland | 耳下腺 | 856 | Glandula parotidea | |
Facial nerve | 顔面神経(VII) | 730 | Nervus facialis | |
Parotid duct | 耳下腺管 | 856 | ||
Accessory parotid gland | 副耳下腺 | 856 | ||
Parotid plexus | 耳下腺神経叢 | 736 | ||
Maxillary/Mandibular nerve | 上顎/下顎神経(V-2/V-3) | 835 | ||
Branches of the cervical plexus | 頚神経叢の枝 | 699 | ||
Auriculotemporal nerve | 耳介側頭神経 | 736 | ||
Superficial temporal artery | 浅側頭動脈 | 736 | ||
Retromandibular vein | 下顎後静脈 | 736 | ||
Facial vein | 顔面静脈 | 736 | ||
External/Internal jugular vein | 外/内頚静脈 | 736 |