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カウンタ
(Reset at 2002.1.21)
館長ご挨拶

 今は高齢社会とともにデジタル社会である。高齢者にとってはデジタル化された物で生活はずいぶんと楽になったように思われている。その一方で「孤立死」がマスコミに取り上げられ、生活保護の問題とはなったが、実際に一人暮らしで死亡後発見されることも相当数増えている。デジタル化されたがために楽になり高齢者が1人でも生きていける社会となったがためかも知れない。一方、医療・医学の分野でもデジタル化は進み、いとも簡単に様々な情報を手にすることができるようになった。最近では、ダビンチのように外科手技においてもナビゲーションシステムまで導入されつつある。しかしながら、予期せぬ事態が起こった時はアナログ的に対応することは昔とは変わらないし、特定機能病院の医療事故死の報告数は一向に減らず、事故の中にはデジタル化が招いたものも少なくない。高齢者一人暮らしの死亡も、医学・医療における事故も、共通しているのはデジタル化である。
 医学・保健医療教育の中にもバーチャル化した教育コンテンツが多数導入されてきた。そのことで、タブレットやPC、あるいは昨今のスマートフォンを使って、自学自習が進むように思えてしまう。しかしながら、バーチャルはあくまでもバーチャルであり、実物に勝るものはない。この標本館には病魔と闘った方々や外因により命を絶たれた方々の崇高な志による貴重な資料があり、その数は4万点を超える。私たち医療人や医療人を目指す学生には、是非、これらの資料を実際に視るとともに触れてほしい。実物からは測り知れない大きなものを得ることができる。実際に確かめることの重要性を改めて認識し、今後の、いや今日これからの医学・医療に役立てていただきたい。


松本 博志
医学部医学科基礎医学部門講座
法医学講座教授

 

 

 

 

 

 


 

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