CONTENTS

カウンタ
(Reset at 2002.1.21)
館長ご挨拶   〜『いのち』と向き合う〜

 札幌医大標本館にようこそ!今日見学に来られた皆さんは、きっと医療系の学校の学生さんだったり、これから医学部を受験しようとする高校生だったりするのでしょうね。また、すでに医療にたずさわっている方かも知れません。
 今日は、「いのち」の尊厳について考えていただきたいと思います。「いのち」が尊い理由は、絶対に人間の力では作れないからです。再生医療で作れるではないかと考える人もいるでしょうが、iPS細胞だってもとは人間の皮膚の細胞を使っていますし、ES細胞やそれ以外の幹細胞もすべて人体由来の細胞を使っているのです。もっと言えば、木の葉1枚、草1本、これだって絶対に私たちは作れないのです。人間が偉いと思っている人は、春になると花が咲き、秋に木の葉が散り、動物が生まれては死ぬ、この地球上の生命の営みを人為的に変化させる事が出来るでしょうか?
つまり、地球の悠久の時間の中で、あなたが今生きて、誰かと出会った。愛し合った。ということがあまりにも奇跡的な事なのです。我々の身体には60兆個の細胞があります。この細胞が元気いっぱいに働いて、美味しく食事が出来て、十分に活動ができるという事は本当に尊い事です。
自分の「いのち」が如何に尊いかを感じたら、次に他人の「いのち」も同様に尊いのだとわかるでしょう?人間の「いのち」が尊いなら、動物や植物の「いのち」も同様だとわかって頂けるでしょう。では、亡くなった人の「いのち」は?この標本館に展示されている臓器の持ち主はすべて亡くなっています。もっともっと生きたかったのに、無念の死を遂げた人もいます。でも、標本館で「いのち」の尊さを感じ、自分の「いのち」を価値あるものにしようと決意すれば、亡くなった方はあなたの中で生き続ける事が出来るのです。
 さあ、元気いっぱいに生きているあなた!健康ないのちを最大限に使って下さい。あなたが生きた事で人々が幸せになるように、世の中が少しでも良くなるように。その為の努力を惜しまないで下さい。
 「いのち」を何に使うのか?これを絶対に忘れないで下さいね!


藤宮 峯子
医学部医学科基礎医学部門講座
解剖学第二講座教授

 

 

 

 

 


 

Copyright © 2011 Sapporo Medical University Biomedical Museum All Rights Reserved.