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収蔵標本解説


 第31号(2002年 12月1日発行)

植込み型除細動器
(ICD : Implantable Cardioverter Defibrillator)

浅井 康文
札幌医科大学救急集中治療部教授

 心臓突然死は心臓病死因の約50%を占め、1992年の Braunwald の教科書によると、米国では、年間約40万人に発生している。
 心臓突然死の70〜80%は、心室性頻拍や心室細動などの致死性不整脈が原因とされている。致死性不整脈は発症のごく早期に発見し、除細動にて救命が可能である。
 植込み型除細動器の臨床応用は、1980年に初めて米国の Mirowskiによって行われた。欧米に較べ本邦での普及は遅く、最近厚生労働省の認可がおりた。1998年のAHAガイドラインによれば、ICD植込み患者の突然死発生率は年間1〜2%、5年後の累積発生率は10%以下に改善されており、経験的抗不整脈薬投与群の心臓突然死と比較して、劇的に死亡率が低下した。
 この植込み型除細動器(図1)は第1世代のもので、貴重な物である。


図1.植込み型除細動器

 この植込み型除細動器は、1997年に救急集中治療部浅井康文教授より標本館に寄贈された、当時の貴重な資料として標本館に保管・展示している。(収蔵番号 : MEDI-PAC-49)

 


 

 

 

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