札幌医科大学医学部

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                          2003年5月27日更新


遺伝子治療 話題  
  組み換えアデノウイルスの改変と宿主との相互作用に関する研究:2年間のまとめ

 

以下に、この2年間ほどの間の当研究室でのアデノウイルスベクターに関する研究の成果をまとめてみました。がんの治療法にとって、ブレークスルーになるような成果を目指していますが、困難の多い2年間だったような気がします。それでも、臨床研究につながる仕事になっていきつつあり、手応えは感じています。続けて行くことで、何かを掴んで行くことができたら、と思っています。

2003年5月26日  札幌医科大学分子医学研究部門  濱田洋文


1.             要 約

 本研究では、難治性癌疾患に対する効果的な遺伝子治療法の開発とその臨床応用を目指している。インテグリンを標的としたF/RGD ウイルスを用いると、悪性黒色腫、口腔領域の扁平上皮癌、膀胱癌、さらに骨髄ストローマ細胞や間葉系幹細胞などに高い遺伝子導入効率が得られた。現在臨床への応用を目指して各種ベクターを作成し、安全性の評価を進めている。
 臨床研究への応用を目指したアデノウイルスの作成方法として、目的とする発現カセットをあらかじめ組み込んだプラスミド1種のみを、293細胞へトランスフェクトする方法を作成して用いた。この方法によると、以後のアデノウイルス増幅の過程で予想外のゲノムの変化が生じる確率が低く、安全性が高い。


2.              目 的

組換えアデノウイルスを改変するために、ファイバー変異型アデノウイルスベクターをキャプシドタンパク変異体を用いて作成する。また、これらの生物活性を検討し、ウイルスバンクの基礎データとする。


3.              研究方法

 生物活性の検討から有用性の確認された新規のアデノウイルスベクターF-RGDなどに関して、下記の(A)-(D)の方法を組み合わせて生物活性を検討し、ウイルスバンクの基礎データとする。  実施方法 (A)アポトーシス関連遺伝子、細胞周期関連遺伝子、腫瘍抑制遺伝子、薬剤感受性遺伝子などを高発現するアデノウイルスベクターを用いて、アポトーシス耐性の分子メカニズムを解析する。(B)p53やp16/Rb などの腫瘍抑制遺伝子に変異を持つ腫瘍細胞特異的な遺伝子導入ベクターを開発する。(C) 腫瘍に対して細胞傷害を得る手段を組み合わせた効果的な治療ベクターを開発する。(D) 間葉系幹細胞や神経幹細胞などの組織標的性の高い正常細胞をベクターのキャリアーとして用いるミサイル療法的な細胞投与療法の基礎的な検討を行う。


4.              研究成果

1) 臨床研究のためのベクターの作成: 今期間中は、臨床に応用するベクターとして、腫瘍特異的増殖型(dAdB3)と薬剤感受性遺伝子UPRTaseの発現カセット(CAUP)とを併せ持つAdv-F/RGD ベクターを作成した。アデノウイルスの作成法に関して、従来用いられてきたアデノウイルスのゲノムにTP(terminal protein)の結合したDNA-TPCとのコトランスフェクションを用いるcos-DNA-TPC法は、野生型のE1やファイバーのゲノムの混入する確率が若干高いため、以後の安全性のチェックに困難を伴うことが経験された。従って、今回の臨床応用を目指したアデノウイルスの作成方法としては望ましくない。そこで、私たちはF/RGDを含むアデノウイルスのゲノムを含み、かつ、目的とする発現カセットをあらかじめ組み込んだプラスミド1種のみを293細胞へトランスフェクトする方法を独自に樹立して用いた。この方法によると、アデノウイルス産生の効率はcos-DNA-TPC法に比較して数十倍低下するものの、不必要なゲノムの持ち込みがないため、以後の増幅の過程で予想外のゲノムの変化が生じる確率が低く、安全性の高いベクター作成方法であると考えられる。同様の方法を用いて、現在、免疫遺伝子治療の臨床研究に用いるAdv-F/RGD ベクターを作成している。また、並行して、ベクターの安全性の評価を進めている。 

2) アデノウイルスの特異性の強化: Ad5本来の受容体であるCARと結合しないAd40の短いファイバーを有するキメラアデノウイルスベクターF40Sをベースとして用いることにより、in vivoでの腫瘍組織への選択性の向上を目指した。マウス静脈内投与によるウイルスの取り込みの臓器別分布を調べたところ、従来のヒト5型アデノウイルスF/wtは、肺・心臓・脾臓・腎臓・腸管などにはほとんど取り込まれず、肝臓にきわめて高い取り込みを示すのに対して、Adv-F40Sは肝臓への取り込みは従来型の50分の1以下と低かった。Adv-F40S自体は、マウスの肺・心臓・脾臓・腎臓・腸管など肝臓以外の組織に対しても親和性を示さず、また、大腸癌、メラノーマなどの担癌マウスの腫瘍組織に対してもin vivoでの親和性はなかった。

3) さらに、Ad40のS(短い)とL(長い)の両方のファイバーを併せ持つAd5ベースの変異型アデノウイルス(F/40SL)、Ad40SのノブとAd5の(長い)シャフトよりなるキメラファイバー変異型(F540S) 、Ad40Sの(短い)シャフトとAd5のノブよりなる変異型(F405)の3種のアデノウイルスを作成して、マウス静脈内投与によるウイルスの組織別分布、特に肝臓への遺伝子導入量を検討した。私たちの予想に反して、F540Sは、F/wt(Ad5のファイバー)やF/40SL(Ad40のSとLの両方のファイバーを併せ持つ)とほぼ同等の高い肝臓への取り込みが見られた。F/405は上記3種よりも数倍低い取り込みであった。一方、F40Sは、F/wtの50分の1程度と、最も低い取り込みであった。これらの結果を総合すると、アデノウイルスの肝臓への取り込みは、ファイバーのシャフトの性質にも依存することが明かとなった。F40Sは、ノブがCAR受容体に結合しないことに加え、さらにF40Sのシャフトが肝臓に取り込まれやすいペプチドモチーフKKTKを欠如するために、肝臓への遺伝子導入(バックグラウンド)が少ないベクターになった。

4) NG2糖タンパクを高発現する腫瘍細胞の標的化: NG2糖タンパクと特異的に結合するTAASGVRSMHの10アミノ酸のペプチド(TAA)をファイバーノブのC末端に持つF40S/TAAの生物活性を検討した。NG2プロテオグリカンの発現はメラノーマ、グリオーマなどの悪性腫瘍とその腫瘍血管に限局することが報告されており、腫瘍標的化のターゲット候補と考え、実験を進めている。静脈内投与で標的化可能なアデノウイルス変異型に関しては、世界的にも報告がないため、慎重なデータの再確認が必要である。今期は、すでに作成したlacZレポーターのデータを再度確認するため、AxCAZ3-F40S/TAAアデノウイルスを633細胞(後述)を用いた方法で再作成するとともに、lacZと異なるレポーターとしてEGFPを用い、 AxCA-EGFP-F/wt、AxCA-EGFP-F40S、AxCA-EGFP-F40S/TAAのアデノウイルスを作成し、実験動物での静脈内投与による標的化に関して確認を進めている。さらに今期は、Adv-F40S/TAAをベースとした治療実験を行うため、ヒトIL-2を発現するAxCAhIL2-F40S/TAA を作成した。まず、AxCAhIL2-F/wt、AxCAhIL2-F40STAAの静脈投与による毒性を検討した。AxCAhIL2-F/wtでは、1×1010 particles/mouseでは、全例死亡、 3×109ではDAY9 で5匹中1匹死亡、 1×109では5匹全例生存。AxCAhIL2-F40STAAでは、1×1010 particles/mouseで3匹中全例生存。以上のような最大投与量に関する検討に基づいて、ウイルスの静注投与量を決定し、現在、A375メラノーマ担癌モデルで治療実験を開始している。

5) 腫瘍の標的化を目指したファイバー変異型アデノウイルスベクターの作成法の検討。新規ファイバー変異型アデノウイルスの作成に際しては、従来の宿主293細胞に対する感染効率が極めて悪くなる場合、充分なウイルスの産生が得られない。今期は、この困難を乗り越えるため、ヒト5型アデノウイルスのファイバー分子の発現を誘導することのできるA549トランスフェクタント633細胞を用いてAdvF40S/TAAを作成する方法を確立した。633細胞を宿主とする作成方法によれば、AdvF40S/TAAは、3次シードまではヒト5型アデノウイルスのファイバーを持つシュードタイプファイバー型キメラとして容易に作成できる。ウイルスの大量調製の段階で、293細胞で大量にウイルスを増殖させれば、全てがウイルスゲノムでコードされるファイバーのみを持つ変異型となる。充分な量のシュードタイプウイルスを293細胞に感染させれば、ファイバー変異型が293細胞に再感染して増殖するというプロセスを経ない。従って、293細胞に対する感染性の程度に依存しない高いウイルス産生が得られる。今期は、このような系を用いて、従来は難しかった変異型アデノウイルスベクターを次々と作成することが可能となった。

6) アポトーシスのブロック:VP22融合タンパク導入治療法の開発: 傷害を受けた脳などの重要臓器の局所で、外来性の抗アポトーシスタンパクを投与または発現させて治療効果を得ようとするとき、ウイルス等を用いた遺伝子治療では、高い導入効率を得ることが困難であることに加えて、遺伝子発現までに数時間から数日ほどのタイムラグが避けられず、急性の疾患に対する初期治療には間に合わない。そこで、遺伝子導入効率に関わりなく、即座に効果的に細胞内に外来性のタンパクを導入できる方法を検討している。VP22はHerpes Simplex Virus-1 の構造タンパク質で、受容体を介さずエネルギー非依存的に細胞膜を通過して細胞内に取り込まれる性質がある。このVP22の特性を利用し、これに、抗アポトーシスタンパクを融合することで、効率的に神経細胞のアポトーシスをブロックして、脳血管障害や移植に備えた重要臓器(肝臓、腎臓、心臓など)を保護するための効果的対応方法の開発を目指している。細胞内移入の特性を保持している切断型VP22を含むベクターにloxP配列部位で組み換え反応を起こすCreリコンビナーゼの遺伝子、抗アポトーシス作用のあるbcl-xlの遺伝子をそれぞれ組み込んだベクターを作製した。VP22-Cre、 VP22-bcl-xl融合蛋白を大腸菌発現系によりそれぞれ精製し、培養細胞の上清中に加え、実際に細胞内に導入され機能するか否かを検討した。VP22-Cre, VP22-bcl-xl融合蛋白は、予想通り細胞内に導入され、その機能が維持されていることが確認できた。VP融合蛋白の特性を生かし、例えば、蛋白質の局所投与により、脳血管障害、脳外傷あるいは、放射線、抗癌剤投与により誘発される神経細胞アポトーシスの効果的予防に応用できると考えられる。現在はさらに、もう一つの動物モデルとして移植心臓の心筋保護のモデルを用いて、実用化に結びつける研究を進めている。

7) ベクターの安全性の評価: 現在、多くの研究室で用いられているアデノウイルスベクターには強力なプロモーター活性を有するCAGGS発現カセットを利用しているものが多い。しかし、CAGGSを臨床に用いた例は少なく、ヒトへの応用の安全性に関しては慎重に確認しておく必要がある。そこで、今期は、CAGGSをベースとして、最も単純なCMVエンハンサーとベータアクチンプロモーターによってドライブされる発現カセットのみを含むCA1プロモータープラスミドを作成し、VEGFならびにアンジオポエチン(Ang-1)を発現するプラスミドベクター(naked DNA)の安全性の検討を行った。単回ならびに2回投与回復試験による、筋肉内投与では明らかな毒性は見られず、当該プラスミドDNAを用いた臨床研究のプロトコールは安全性が高いことが期待される。

8) 固形腫瘍に対するCD40L(CD40 ligand)遺伝子導入による免疫強化治療の開発を目指して: CD40LはこれまでにCD40陽性B細胞系白血病細胞の形質変化を誘導し、抗白血病免疫応答をin vitroおよびin vivoで誘導できる分子として報告されており、慢性Bリンパ球性白血病では第2相臨床研究が進行中である。私たちはCD40陽性固形腫瘍に対してCD40L遺伝子を導入した場合の細胞表面抗原、抗腫瘍免疫誘導、細胞増殖、アポトーシス誘導、抗癌剤感受性および血管新生への影響を検討した。膵癌、大腸癌、口腔癌、脳腫瘍、腎癌等の難治性の固形腫瘍の細胞株を用い、ファイバー改変型アデノウイルスベクターを用いてヒトCD40Lを遺伝子導入した。非造血系腫瘍細胞株におけるCD40発現をFACSで検討した結果、膵臓癌(2/4)、大腸癌(1/3)、口腔癌(3/6)、グリオーマ(0/3)、腎癌(1/1)と、グリオーマを除き約半数の固形腫瘍はCD40を発現していた。CD40陽性口腔癌細胞にヒトCD40Lを導入した結果、HLA-class I, CD54 (ICAM-1), CD95 (Fas)の発現が増強され、増殖が約50%阻害されることが確認された。一方、CD40陰性腫瘍細胞にCD40を遺伝子導入後、CD40Lを導入した結果、NF-kBの核内移行、CD54, CD95等の発現誘導および増殖阻害効果が確認された。つまり、固形腫瘍においても、CD40L遺伝子導入は腫瘍細胞の形質変化を引き起こすことが判明した。今後、抗腫瘍免疫誘導能、アポトーシス誘導能、抗血管新生効果等を解析し、効果的な治療法につなげてゆきたい。

9) アポトーシス促進性遺伝子を用いた遺伝子治療法の開発: アポトーシス関連遺伝子、細胞周期関連遺伝子、腫瘍抑制遺伝子、薬剤感受性遺伝子などを高発現するアデノウイルスベクターを用いて、腫瘍特異的なアポトーシス誘導療法を開発している。アポトーシス関連遺伝子としては、腫瘍細胞のアポトーシス耐性にとって「関所」となる分子(すなわち、その発現がブロックされるとアポトーシスのカスケードが止まってしまうようなキー遺伝子)を同定し、これを用いてアポトーシス耐性の克服を試みている。単独ではほとんどアポトーシスを生じない少量のcaspase-8発現アデノウイルスベクターに5-FUあるいはX線照射を併用することにより、大腸癌細胞DLD-1に強いアポトーシスを誘導することが可能であった。DLD-1細胞は5-FUに高度な耐性を示し、100mMの2日間処理を行っても細胞増殖抑制効果はみられるものの殺細胞効果はほとんど生じなかった。DLD-1細胞に対するAdv-Casp8感染と5-FU処理の併用による細胞死誘導効果を検討したところ、それぞれ単独処理ではわずかな死細胞を生じるのみであったのに対し、併用処理後には著明なアポトーシスが生じた。アデノウイルスベクターによる感染48時間後のレポーター遺伝子lacZおよびGFPの導入発現は5-FU処理の存在により増強し、Adv-GFP感染による1細胞あたりのGFPの平均蛍光強度は約2?3倍に高まった。Adv-Casp8感染と併用するパートナーを5-FU処理からp21あるいはp27の過剰発現に代替しても、DLD-1細胞にDNA断片化を伴う強い細胞死を誘導し、この細胞死にはcaspase-8の活性化を伴っていた。5-FU処理によるDLD-1細胞のTRAF-1、2、cIAP-1、2、cFLIP、bcl-2、bcl-xLの蛋白発現量に明らかな変化は認めなかった。DLD-1細胞に2.5Gyあるいは5GyのX線を照射したところ、わずかな細胞死を生じるのみであったが、これにAdv-Casp8感染を併用したところ、線量依存的に強い細胞死を誘導し、この細胞死にはDNA断片化を伴っていた。大腸癌に対する化学療法の第一選択薬は5-FUであるがその治療効果は不十分である。今回検討に用いたDLD-1細胞は5-FUに対し高度耐性を呈するが、その背景として変異型p53の存在や、細胞内のbaxのbcl-xLに対する発現量比が低いことが指摘されている。それぞれ単独ではほとんど細胞死を生じない条件で、Adv-Casp8感染と5-FU処理の併用はDLD-1細胞に強力なアポトーシス誘導を伴う細胞死を生じた。5-FU処理によるcaspase-8の活性化や抗アポトーシス分子の発現量の変化は検出されなかった。5-FUの細胞増殖抑制効果が、導入されたprocaspase-8遺伝子およびその産物が細胞分裂に伴い分配・希釈されるのを阻害し、その結果として1細胞あたりの遺伝子発現量を増加させることが、併用効果のメカニズムであろう。Adv-Casp8感染との併用効果を検討する既存の治療法としてX線照射も検討に含めた。DLD-1細胞へのX線照射により、弱いながらもミトコンドリアを介するアポトーシス経路の活性化が認められた。これに比較的少量のAdv-Casp8感染を併用することにより強いcaspase-8の活性化を伴うアポトーシスを誘導し、この現象はミトコンドリアを介するアポトーシスシグナルを遮断することにより抑制された。DLD-1細胞には内因性procaspase-8が豊富に存在し、その約2倍程度の過剰発現によりX線照射後に著明なcaspase-8の活性化が生じた。本研究ではウイルス量依存的に強力なアポトーシス誘導能を呈するAdv-Casp8を比較的少量用い、これに既存の治療法を併用することにより、強い殺細胞効果が得られることを報告した。このストラテジーにより、アデノウイルスの使用量削減が可能となり、癌の遺伝子治療の有効性と安全性を高めることができる。

10) リボザイムライブラリーを用いた新規アポトーシス遺伝子の同定: 標的mRNA結合配列をランダム化したリボザイムライブラリー発現ベクターを用いた遺伝子スクリーニング法を用い、Tumor necrosis factor-ralated apoptosis-inducing ligand (TRAIL) 刺激による大腸癌細胞のアポトーシスに関与する新規分子群の探索を行った。その結果、これまでにアポトーシスとの関連が報告されていない多数の分子を選別することができ、これら分子群につき機能解析を進めている。新規分子の1つは蛋白質リン酸化酵素ドメインを有し、この分子を遺伝子導入法により強制発現すると293T細胞にアポトーシスが誘導された。アフィニティーキャプチャー法を用いて本分子と相互作用する複数の結合蛋白を分離した。現在これら相互作用蛋白の質量解析を行っている。また、リボザイム法のほかに、RNA interference法を用いた選択的遺伝子発現阻害実験も並行して行っている。効果的な遺伝子発現阻害が得られるsmall interfering RNA発現ベクターの作製を終え、この分子の発現が低下した細胞を作成し、表現型の解析を行っている。

11) RNA interference法を用いた癌の遺伝子治療法の開発: 選択的遺伝子発現阻害法として注目を集めているRNA interference(RNAi)法を癌の遺伝子治療に応用することを目的とし、癌細胞特異的に高発現して癌細胞のアポトーシスを抑制することが報告されているsurvivinをターゲットとするsmall interfering RNA(siRNA)発現プラスミドベクターを作製した。これを用いてsurvivinに対するsiRNAを強制発現させたところ、293T細胞でのsurvivinの発現レベルを強力に抑制した。さらに、siRNA発現アデノウイルスを各種作製し、癌細胞における遺伝子発現阻害効果を検討したところ、survivin発現を抑制することが可能であった。siRNA発現系の遺伝子治療への応用も有望である。

12) 悪性黒色腫、口腔癌、膀胱癌などでは、Advの受容体CARの発現がきわめて低く、従来型のベクターでは遺伝子導入効率が非常に低い。これに対し、インテグリンを標的としたRGD モチーフをファイバーに含むF/RGD 変異型ウイルスを用いると、F/wtに比較して数十倍高い遺伝子導入効率が得られることがわかり、悪性黒色腫、口腔癌、膀胱癌などに対する臨床応用が有望となった。現在臨床への応用を目指して各種ベクターを作成し、安全性の評価を進めている。今期は、間葉系幹細胞 (MSC、mesenchymal stem cell) に高効率で遺伝子導入できることを見出し、再生医療への応用、幹細胞を用いた浸潤性腫瘍の治療(後述)などへの応用を報告した。間葉系幹細胞 (MSC)を用いたラット脳腫瘍モデルの遺伝子治療: ラット大腿骨から骨髄を取り出し、初代培養しMSCを調製した。MSCはアデノウイルスAxCA-EGFP-F/RGD遺伝子導入で標識、ないしAxCAhIL2-F/RGDによるIL-2治療遺伝子導入を行った。ラットグリオーマ細胞9Lは、pDsRed2で遺伝子導入標識した。Fischer344ラット脳内に、DsRed標識9Lグリオーマ細胞を移植し、1週間後にEGFP標識MSCを同部位に移植し、経過を追った。組織切片を共焦点レーザー顕微鏡で観察したところ、MSCは腫瘍全体に拡がり、特に正常脳組織と腫瘍の境界部に多く分布していた。9L脳腫瘍のIL-2治療実験は、(1)コントロール、(2) MSC、(3) EGFP-MSC (AxCA-EGFP-F/RGD、1000particles/cell)、(4) hIL2-MSC (AxCAhIL2-F/RGD、300particles/cell)、(5) hIL2-MSC (1000particles/cell)の5群で、移植・細胞治療を施行し、比較検討した。 その結果、(4)と(5)では(1)と比べてウイルス量に依存して延命し、(5)では約2週間の延命効果が得られた。MSCは浸潤性の悪性神経膠腫に対する遺伝子治療のベクター細胞としての利用可能性が示唆された。

13) 当期間中に作成したプラスミドベクター、ならびにアデノウイルスベクター: 以下の表のようなベクターを作成し、生物活性を検討している。概略の検討が終了次第、遺伝子バンクに寄託する予定である。

プラスミド:
(1) pRx1-bsr : gag-killedレトロウイルスベクター。
(2) pRx1-CD40L-bsr:ヒト型CD40 Ligand (CD154) 発現レトロウイルスベクター。
(3) pRx1-CD40Ldel-bsr:MMP切断部位を含む13アミノ酸欠失ヒト型CD40 Ligand発現レトロウイルスベクター。
(4) pRx1-luc-bsr:pGL3-Basic由来ルシフェラーゼcDNA発現レトロウイルスベクター。
(5) pRx?luc-hrGFP:pGL3-Basic由来ルシフェラーゼcDNA発現レトロウイルスベクター。マーカーとしてウミシイタケ由来改変型GFP (Green Fluorescent Protein) を使用。
(6) pRds:pDisplay(Invitrogen社)の細胞表面発現ユニットをpRx1-bsrのmulti cloning siteに導入した細 胞膜貫通型発現レトロウイルスベクター。
(7) pCAccEGFP:オワンクラゲ由来改変型緑色蛍光タンパク質(Enhanced GFP、pEGFP-N1:Clontech社 由来)発現ベクター。
(8) pCAccDsRed2:サンゴより単離された赤色蛍光タンパク質(DsRed)改良型(pDsRed2-N1:Clontech社由来)発現ベクター。
(9) pCAcchIL12(F) : ヒト型Interleukin12(p40-IRES-p35)発現ベクター。
(10) pCAcchIL12p40:ヒト型Interleukin12/p40分子発現ベクター。
(11) pCAcchIL12p35:ヒト型Interleukin12/p35分子発現ベクター。
(12) pCALNL5▲C:cre-loxp組み換えユニット内に存在するClaIサイトを欠失させた。
(13) pCAccLNL5▲C:cre-loxp組み換えユニット(内部にClaIサイトは存在しない)を導入したpCAcc型発現ベクター。cre-loxp組み換えユニットを含むcDNA発現カセットをpCAccのClaIサイトを利用して切り出すことができる。
(14) pCAcc-luc+:pGL3-Basic(Promega社)由来ルシフェラーゼcDNA発現ベクター。
(15) pCMV-luc+:CMVプロモーター(人工合成イントロンを含む)誘導β-ガラクトシダーゼ発現ベクターpCMVβ(Clontech社)のβ-ガラクトシダーゼcDNA部分をpGL3-Basic(Promega社)
由来ルシフェラーゼcDNAに置換した。
(16) pCAcc-luc+:pGL3-Basic(Promega社)由来ルシフェラーゼcDNA発現ベクター
(17) pCMV-hVEGF:CMVプロモーター(人工合成イントロンを含む)誘導β-ガラクトシダーゼ発現ベクターpCMVβ(Clontech社)のβ-ガラクトシダーゼcDNAをヒト型VEGF165 cDNAと置換した。

アデノウイルス:
番号      アデノウイルスベクター名          遺伝子名
1          AxCAhIHH-N-F/RGD          human indian hedgehog (N-terminal 202 aa)
2          AxCAhAng1(E)-F/RGD        human angiopoietin-1
3          AxCAhTACI-F/RGD      human transmembrane activator and CAML
                       interactor
4          AxCAhCD40L-F/RGD         human CD40 ligand
5          AxCAhBDNF-F/RGD      human brain-derived neurotrophic factor
6          AxCAhNT3-F/RGD            human neurotrophin-3
7          AxCAhPlGF1-F/RGD        human placental growth factor
8          AxCAhPlGF2-F/RGD          human placental growth factor,
                       vascular endothelial growth factor-related
                       protein
9          AxCAhCNTF-F/RGD     human ciliary neurotrophic factor


5.             考 察

 アデノウイルスの細胞への感染は、ウイルスファイバーが細胞側の受容体分子(CAR)に吸着することで始まる。従来のアデノウイルスベクターでは、ターゲットとなるがん細胞以外にCARを発現する正常細胞にも感染し、安全面で問題となっていた。今回、CARを認識しない40型の短ファイバーに置換したAdv-F/40Sを作製することで、CARを介した遺伝子導入を排除し、また、肝臓へのトラップによる遺伝子発現も抑えて、望ましくない非特異的遺伝子導入を極めて低く抑えることに成功した。
 悪性黒色腫、口腔癌、膀胱癌などでは、Advの受容体CARの発現がきわめて低く、従来型のベクターでは遺伝子導入効率が非常に低い。これに対し、インテグリンを標的としたRGD モチーフをファイバーに含むF/RGD 変異型ウイルスを用いると、F/wtに比較して数十倍高い遺伝子導入効率が得られることがわかり、現在臨床への応用を目指して各種ベクターを作成し、安全性の評価を進めている。今期は、間葉系幹細胞 (MSC、mesenchymal stem cell) に高効率で遺伝子導入できることを見出し報告した。組織指向性の高い成人型の幹細胞(神経幹細胞など)は、浸潤性の高い腫瘍、たとえば神経膠腫などの治療に用いることが可能と期待されている。
 私たちは、アポトーシス関連遺伝子、細胞周期関連遺伝子、腫瘍抑制遺伝子、薬剤感受性遺伝子などを高発現するアデノウイルスベクターを用いて、腫瘍特異的なアポトーシス誘導療法の開発を目指している。アポトーシス関連遺伝子としては、腫瘍細胞のアポトーシス耐性にとって「関所」となる分子(すなわち、その発現がブロックされるとアポトーシスのカスケードが止まってしまうようなキー遺伝子)を同定し、これを用いてアポトーシス耐性の克服を試みる方針である。また、免疫強化療法に関しては、組織標的性の高い幹細胞移植などと組み合わせることによって、局所に適切に治療分子を発現させ、安全性と特異性を高めることを計画している。また、臨床研究の候補となるベクターに関しては、安全性試験を積み重ね、実用化に必要な基礎データを得ることを続けて行きたい。
 TAAリガンドペプチドモチーフは、アメリカのパスカリーニ (Pasqualini, R)たちのグループでファージディスプレイの技術を用いて実験的に見つけだされたペプチド配列である(Burg et al.. Cancer Res. 59: 2869-2874, 1999)。最近、Pasqualiniたちはファージディスプレイの技術を用いてペプチドライブラリーのヒト血管ベッドへの吸着に関する大がかりなin vivoアッセイを行い報告した(Arap et al.. Nature Med. 8: 121-127, 2002)。この報告によると、ペプチドライブラリーの各臓器への局在を47,160個ものペプチド配列の解析によって検討した結果、ヒト血管ベッドへのランダムではない吸着が臓器ごとに認められ、各臓器の血管に対し特有の標的化が可能であることが示唆された。Arap et al.らの仕事をもとに、今後ますますターゲットとリガンドの組み合わせの候補が拡がれば、有効な組織特異的な標的化ベクターの作成につながることであろう。

6.                 成果の発表

1.        Kawamura, K., Bahar, R., Namba, H., Seimiya, M., Takenaga, K.,  Hamada, H., Sakiyama, S. and Tagawa, M.: Bystander effect in uracil phosphoribosyltransferase/5-fluorouracil-mediated suicide gene therapy is correlated with the level of intercellular communication.  Int. J. Oncology, 18(1): 117-120, 2001.

2.        Lin Hui Wang, Dian Wen Ju, Yinghao Sun, Qun Tao, Songxi Qian, Jing Mi, Hirofumi Hamada, Xuetao Cao  The potent antitumor effects of combined p16 gene and GM-CSF gene therapy through efficient induction of antitumor immunity.  J. Cancer Res. Clin. Oncol.,  127: 101-108, 2001.

3.        Nagayama Y, Nishihara E, Namba H, Yokoi H, Hasegawa M, Mizuguchi H, Hayakawa T, Hamada H, Yamashita S, Niwa M. Targeting the replication of adenovirus to p53-defective thyroid carcinoma with a p53-regulated Cre/loxP system.  Cancer Gene Ther., 8(1): 36-44, 2001.

4.        Wang LH, Ju DW, Sun Y, Tao Q, Qian S, Mi J, Hamada H, Cao X   The potent antitumor effects of combined p16 gene and GM-CSF gene therapy through efficient induction of antitumor immunity.  J Cancer Res Clin Oncol., 127(2): 101-108, 2001.

5.        Shinohara T, Miki T, Nishimura N, Nokihara H, Hamada H, Mukaida N, Sone S.  Nuclear factor-kappaB-dependent expression of metastasis suppressor KAI1/CD82 gene in lung cancer cell lines expressing mutant p53.  Cancer Res., 61(2): 673-678, 2001.

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