すでに、背部は後頭下筋まで剖出が進み、脊髄は摘出され(p.)、頚部は頚神経叢の観察が(p.
)、咽頭・喉頭では一側で観察が(p.
)、終了しているはずである。迷走神経、副神経、頚部交感神経幹などはラベルし終わっているか。(p.
)
頚部内臓 とそこに付く血管・神経を大きく上方に反転する。脊柱と頚部内臓の間のゆるい咽頭後隙 をできる限り上方、外頭蓋底 まで剥離開放する(Fig.890)。
簡単のため第2・3頚椎間で脊柱と周囲の筋・靭帯を以下のようにして切断する(Fig.717)。ライヘを prone (伏臥位)にして、強大なC2棘突起 を再確認する(Fig.637)。背部からC2-3間に鋸を入れ、一気に脊柱と周囲の筋を切断する。すでに脊髄が摘出されていれば切断は容易である。上方に反転した頚部内臓と血管・神経を損傷しないように注意する。以上の作業により、頚部内臓 とその血管・神経を付けた状態で、頭部が頚部背柱から離れる。背柱側で横突孔 を開放して、脊髄神経根と椎骨動脈 を剖出する(Fig.719,721)。
頭部離断の方法としては他に、環椎後頭関節を剥がす方法や、後頭骨を鋸で切断して大孔・後頭顆を脊柱側に付ける方法などが行なわれている。いずれも頚神経叢全体を温存することを目的とした手技であるが、X-XIIを破損しやすい。
*Retropharyngeal space | *咽頭後隙 | 890 | ||
Spinous process of axis | C2棘突起 | 636 | ||
Transverse foramen | 横突孔 | 641 | ||
Spinal root | 脊髄神経根 | 688 | ||
Vertebral artery | 椎骨動脈 | 719 | ||
Atlanto-occipital joint | 環椎後頭関節 | 648 | ||
Occipital bone | 後頭骨 | 757 | ||
Foramen magnum | 大孔 | 757 | ||
Occipital condyle | 後頭顆 | 757 |