医療における3Dプリンターの利用(2)

ソフトウェア編

 

CT画像を三次元再構成し、STLファイルを作成するソフトウェアを私の知りうる範囲で紹介してみたいと思います。
 

1. 3Dワークステーション

ZIO Station, AZE BirtualPlace, FMS Vincentはどれも対応しているようです。
AZEは試したことはないのですが、ZIO、Vincent共に出力したSTLファイルにエラーはほとんどありませんでした。ただ、出力のパラメータによっては、データが細かくなりすぎて、巨大なSTLファイルになってしまうので注意が必要です。
(プリンタの物理解像度以上の細かいデータはうまく印刷できないことがあります)

これらのワークステーションは高価なので、3D模型作成のために導入することは現実的ではないと思われます。ZIOソフトが個人向けに販売している ZIO CubeでSTL出力ができればいいのですが。(以前問い合わせたところ、サポートしていないとのことでした)
 

2. 商用ソフトウェア

Volume Extractor (i-Plants Systems) 日本製。他のソフトに比べると価格も安いのが最大のメリットです。
Vector で試用版が公開されています。(が、STL出力はできません、、、)

Mimics inPrint (Materialise)  マテリアライズ社はベルギーのソフト会社で、CADや3Dプリンター用ソフト等を販売している会社です。Mimics inPrintは同社のメディカル・ソリューションのMimicsから臓器立体模型の制作に特化したソフトです。
面白い機能として、モデルに患者さんの氏名等の文字を刻印することができます。
ただ、ライセンス形態が「年単位の使用料」という形式になっています。
(買取はできないようです)
同社ホームページから試用版をダウンロードできます。

3D Doctor (Able Software) とても古くからあるソフト(Windows2000でも動作するようです)で、対象を指揮入り処理などでセグメンテーションし、輪郭データを基に三次元化します。
このソフトも同社ホームページから試用版をダウンロードできます。
 

3. フリーソフト等

PLUTO 名古屋大学で開発されたプログラムです。STL出力のプラグインが用意されています。

OSIRIX MacOSX用。Macユーザーには説明の必要がないソフト。STL出漁区のプラグインが用意されています。

3D Slicer 医用画像の可視化,解析用のソフト。使ったことがないので詳しくはわかりませんが、STL出力が可能なようです。

・InVesalius ブラジル産。各種言語モジュールが用意されていて、日本語にも対応しています。このソフトは上記2つとは異なり、3Dモデル作成に特化したようなソフトです。骨や臓器のセグメンテーションのための機能が豊富?なのでおすすめです。

3D Slicer, InVesalius はVTK (Visualization Toolkit)のSTL writerを使用しているようで、作成したSTLファイルにはエンドキャップが開いたままといったエラーが含まれていますので、修正してから印刷する必要がありそうです。
 

4.  STLデータ修正ソフト

STLデータに「穴が開いている」、「面が裏返っている」といったエラーが含まれていると印刷に失敗する確率が高くなります。(どういったエラーがあるかは、こちらのサイトが参考になります。)
その対策としてエラー修正のソフトがあります。
商用のものとしては、MetfabbPOLYGONALmeisterといったソフトが有名ですが、10万円以上もする高価なものです。
フリーソフトもいくつかあるようですが、Netfabbの無償版MiniMagics(ライセンスが無償提供されています)が機能も豊富でおすすめです。他にマイクロソフトがエラー修正のサービスをネット上で提供しています。